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何も知らない神の子  作者: 三村春明
再会まで――
9/9

1

 アリスと出会って、半年が過ぎた。

 その間に俺とアリスとの間にもいろいろな変化はあった。

 あのたった一日の出来事によって俺は大きく変化した。

 今思えば、尋常な精神でなければ間違いなく耐え切れなかったに違いない。

 母は死んで義妹ができ、俺は記憶をなくす。

 なにより、初音のことを忘れていた。

 そのことだけが今となっても悪夢を呼ぶ。

 いっそう、忘れられれば……否、これは俺に与えられた唯一無二の罰。

 そして、それは今現在、俺の睡眠を邪魔していた。


「はつ、……」


 大量の汗で地面を濡らし、俺は覚醒する。

 深夜にも限らず、この美しい野原は月光を浴びより一層美しさを増す。

 いったい、俺たちはこの美しい野原をどれだけ放浪したのだろうか。来た道とこれから進む道を交差して、何も変わらないこの風景にぞっとしてしまう。

 アリスは隣で瞳を閉じている。その白くて美しい横顔にそっと手を添え、俺は微笑する。


「お前は俺をどこに連れて行く気だよ」


 どうでもいい。

 その後、俺はアリスを軽く抱きしめ、眠りにつく。抱きしめた瞬間、アリスが少しだけ微笑んだ気がする。

 そんな少女の微笑みに俺は何度助けられた?

 この俺とアリスだけの世界は一体、いつまで続くのか?

 ――いつまで、この少女の微笑みを俺は見ていられるのだろうか?

 そんなこと、考えなければいい。このような結論に何回いっただろうか。

 だからこそ、俺は決着をつけなければいけない。

 俺に神の力が宿されているというなら。


 ――この力で俺は初音と再会する。そして――


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