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Death or Dead 《血塗られた聖戦》  作者: 佐島黎介
・1章 紅蓮の剣士
4/4

─2─

◆◇◆◇◆◇



雅を連れて部屋に戻った俺達は逢の入れた紅茶で気持ちを沈めていた。



意外かもしれないが、彼女の能力は回復系。そもそもの疑問として苦しみや痛みから出来る能力に回復系の能力何てあるのかということである。



俺は逢の苦しみを見てないから推測でしかないが、苦しみを受けた彼女は彼女の回復能力の本質である何かを求めたのではないか。



逢と二人で自分達の苦しみについて話したことがあった。実際には自分で話したことは覚えていないが。



その時、逢は自分でも不思議だと言っていた。だけど俺は思う。これは希望の力なのではないか、と。そうであって欲しいというのが正確だが。



この世界にも希望があるってわかっただけでこの世界の多くの人が救われるかもしれないのだから。



俺が考え事をしている間に二人の会話は進んでいた。



「私はこの世界では少し珍しい能力を持っているんです。それを知ったあいつらは毎日のように私の元に来ました。最初は仲間だった子が一緒にいたんですけど、その子は……殺されました。あいつらのボスに」



「殺された!? 何でそんなことを!!」



殺された、そのワードは俺を現実に引き戻すのに余りあるぐらいの力を持っていた。



雅は涙でつまりながらも言葉を繋げようとする。それを俺と逢は止める。二人の気持ちは同じだった。無理して話す必要はない、と。



雅は少し表情を取り戻し、ペコリと頭を下げた。俺と逢も少し落ち着く。だが一つだけ気がかりなことがあった。



それは雅の仲間を殺したボスの名前。もしかしたら俺らが探している人物の可能性もある。俺は穏やかな口調で訪ねる。


「一つだけ。そのボスの名前を教えてくれないか?」



固唾を飲んで雅の言葉を待つ。言うのを躊躇う様子が見られたが、決心して答えた。



「ボスの名前は円道大輔。七聖人の一人でこの世界で十番目に強い男です」



名前を聞いた瞬間鳥肌が立った。ビンゴだった。繋がったのだ。俺達の目的と雅の事件が。



円道大輔。


七聖人の一人であるこの男。七聖人とはこの世界に訪れたとある最悪の事件を食い止めた七人に敬意を払うために付けられたものだ。



では、そんな英雄である彼が何で雅にそんなことを?



それはわからない。しかし、最近はこの男について良い噂を聞かない。



人身売買、理不尽な殺人、そして、あのテグラスを一瞬で廃墟にした男。この事件があってからテグラスはこの世界で一番治安の悪い町になったのだ。



そして、俺達はこの男と一度だけ会ったことがあった。あの謎の玉を渡した怪しい男の招待。あれは幻覚で外見を創った円道大輔だった。



疑問に思ったのはこっちの世界に戻ってきて数日が経った頃だった。



能力も持っていない男がこの世界の核心に近いほどのアイテムを持っていたこと。あの男の異様な雰囲気。そして円道大輔の能力は完全再生パーフェクト・リプレイ。自分のかつて会ったことのある人の外見、声、話し方、性格、能力に至るまで完璧に再生できる。



これで確信をもった。円道大輔ならこの世界の何かを知っているかもしれない。そう思って俺達はこの男を探すことにしたのだが、まさかこんなに早く手掛かりを掴めるとは思わなかった。



俺は逢と目配せをし、円道大輔について聞き出させる。



「じゃあ、雅ちゃんは円道大輔がどこにいるのかを知っているの?」



「知ってる……、けどホントに上位の人しかそこは通れないよ。でも二人なら……」



雅の声が段々と小さくなっていく。雅をたすけるため。そして円道大輔からあの玉について聞き出すため。俺達はこの男に会わなければならない。俺は雅に訊く。



「教えてくれないか。その場所」






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