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第9話 周波数

同じ出来事でも、

見え方が違うことがあります。


第9話「周波数」です。

 体育館に集められた。


 


 理由は不明。


 


 空気が重い。


 


「低い」


 ヴィブラティオが呟く。


 


 ポラリスが眉をひそめる。


「極が沈んでる」


 


 ジェミナスが目を閉じる。


 


「振動数」


 


 壇上にラセルドゥスが立つ。


 


「人は、同じ現実を見ていない」


 


 静かな声が響く。


 


「意識の振動数が違うからだ」


 挿絵(By みてみん)


 空気がざわめく。


 


「恥は排除を生む」


 


 体育館の壁が、ひび割れたように見える。


 


「罪悪感は自己破壊を呼ぶ」


 


 床に黒い影が滲む。


 


「無気力は絶望を投影する」


 


 空間が重く沈む。


 


 俺の胸がざわつく。


 


 ジェミナスが小さく言う。


 


「意識はスクリーン」


 


「潜在意識は映写機」


 


 ラセルドゥスが続ける。


 


「恐怖は未来を歪ませる」


 


 天井が低く感じる。


 


「怒りは敵を創造する」


 


 人の輪郭が鋭く見える。


 


 カウサリスが震える。


 


「数値で見るでござる」


 


 彼女のタブレットに階層が浮かぶ。


 


【20】恥

【30】罪悪感

【50】無気力

【75】深い悲しみ

【100】恐怖

【150】怒り


 


 体育館の空気が濁る。


 


「振動が低いほど、現実は重くなる」


 ラセルドゥス。


 


「排除、破壊、絶望、悲嘆、不安、憎しみ」


 


 その瞬間。


 


 観客席の一部が暗く沈む。


 


 俺は息を整える。


 


「じゃあ上は?」


 


 ラセルドゥスが薄く笑う。


 


「勇気」


 


 光が一点に灯る。


 


【200】勇気


 


「そこから“力”が始まる」


 


 ポラリスが言う。


「境界」


 


 ジェミナスが続ける。


 


「中立、意欲、受容、理性、愛、喜び、平和」


 


【250】中立

【310】意欲

【350】受容

【400】理性

【500】愛

【540】喜び

【600】平和


 


 体育館の天井が高くなる。


 


「そして」


 


【700-1000】悟り


 


 一瞬、境界が消える。


 


 敵も味方も曖昧になる。


 


「振動数は高度だ」


 ジェミナスが言う。


 


「低い、高いは善悪ではない」


 


「ただ、見える景色が違う」


 


 ラセルドゥスが腕を広げる。


 


「人は自らの振動数を、潜在意識を通じて現実に投影する」


 


 空間が波打つ。


 


「恐怖に生きる者は恐怖の世界を見る」


 


「愛に生きる者は愛の世界を見る」


 


 俺の胸が熱くなる。


 


 最近うまくいった理由。


 


 掲示板の収束。


 距離の変化。


 


 俺の振動が変わったから。


 


「引き寄せではない」


 ジェミナスが言う。


 


「共鳴」


 


 同じ周波数が集まる。


 


 ラセルドゥスの目が光る。


 


「だが恐怖は速い」


 


 体育館に映像が広がる。


 


 恥の世界。


 罪悪感の世界。


 怒りの世界。


 


 そこでは敵が多く、空が低い。


 


「選べ」


 


 空気が揺れる。


 


 俺は目を閉じる。


 


 恐怖を否定しない。


 


 ただ、観測する。


 


 そして。


 


 勇気。


 


 胸の奥に一点の灯り。


 


 体育館の歪みが収束する。


 


 ジェミナスが微笑む。


 


「周波数が上がった」


 


 カウサリスが震える。


 


「現実の解像度が変わったでござる」


 


 ラセルドゥスが小さく笑う。


 


「面白い」


 


「だが、振動を維持できるか?」


 


 空気が静まる。


 


 恥も罪も怒りも、消えない。


 


 ただ。


 


 高度を選べる。


 


 俺は息を整える。


 


 世界はスクリーン。


 


 潜在意識は映写機。


 


 意識は選択。


 


 そして振動は、投影。


 


 体育館の天井が、澄み渡った。


 


 ラセルドゥスの影が、わずかに揺らぐ。


 


「高度を維持できるなら」


 


「世界は、書き換わる」


 


 俺は小さく笑った。


 


 選べる。


 


 それだけで十分だ。

第9話を読んでいただきありがとうございます。

振動は選べます。

ただし、維持できるかは別の話。


次回、揺れが試されます。

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