第7話 創造
何かを生み出すとき、
そこには二つの力が働いています。
第7話「創造」です。
原因を置いた。
確かに流れは変わった。
けれど。
「それだけでは創造にはならない」
放課後、静かな声が響いた。
窓際に、水色髪の生徒が座っている。
性別の輪郭が曖昧な、不思議な存在。
「ジェミナス」
ポラリスが小さく言う。
「ジェンダー担当」
「また担当か」
俺は苦笑する。
ジェミナスはゆっくりと首を傾げた。
「性は万物に存在する」
その声は柔らかい。
「万物は男性的原理と女性的原理を持つ」
ヴィブラティオが首を傾げる。
「男と女の話?」
「違う」
ジェミナスは微笑む。
「それは象徴」
黒板に二つの円を描く。
「男性原理は、意識。随意。能動。客観心」
右の円に書く。
「女性原理は、潜在意識。不随意。受動。主観心」
左の円に書く。
「創造は、この二つが交わるときに起きる」
教室が静まる。
「原因を置くのは男性原理」
ジェミナスは俺を見る。
「でも、それを受け取り、育てるのは女性原理」
レスポンサが小さく呟く。
「潜在意識」
カウサリスがメモを取る。
「生成・再生・創造でござる」
ジェミナスは頷く。
「意識だけでは世界は動かない」
「潜在意識が応答するとき、現実が形を持つ」
俺は思い出す。
あの日、集会で言葉を選んだ瞬間。
意図。
決断。
でも、周囲の空気が変わったのは――
「共鳴」
ヴィブラティオが言う。
「受け取られた」
ジェミナスが微笑む。
「そう」
そのとき。
校内で小さな騒動が起きた。
新しい企画案が、突然通った。
誰も強く推していなかった案。
「なぜ?」
レスポンサが驚く。
カウサリスがデータを見る。
「事前に賛同が増えているでござる」
「でも、誰も強く主張していない」
ジェミナスが言う。
「潜在意識に蒔かれた種が芽吹いた」
俺は気づく。
昨日、何気なく言った。
「もっと自由にやればいい」
その一言が、無意識に浸透していた。
意識が種。
潜在意識が土壌。
創造は、その間に生まれる。
「性の原理は、すべての次元に現れる」
ジェミナスの声は穏やかだ。
「物質にも、精神にも、霊的にも」
「能動と受動が交わるとき、何かが生まれる」
そのとき、風が強く吹いた。
屋上。
ラセルドゥスが目を細める。
「創造か」
「ならば、私も蒔こう」
彼の指がスマートフォンを滑る。
学内に、新たな噂が広がる。
今度は、希望の形をした噂。
過度な期待。
「創造は、光にも影にもなる」
ジェミナスが言う。
「男性原理が強すぎれば、押し付けになる」
「女性原理が強すぎれば、幻想になる」
バランス。
俺は深く息を吸う。
「じゃあ、どうする」
ジェミナスが微笑む。
「内側を整える」
「潜在意識と対話する」
俺は目を閉じる。
焦り。
期待。
不安。
それらを否定しない。
ただ受け取る。
静かに。
心の奥で、何かが組み合わさる。
意図と感覚。
決断と受容。
そのとき。
胸の奥が、温かく光った。
小さな創造。
ラセルドゥスが呟く。
「七つ、揃う」
世界は鏡で。
揺れ、
極を持ち、
往復し、
因果で動き、
そして。
創造する。
俺はまだ未熟だ。
だが、確かに感じる。
内側で何かが生まれた。
それは、まだ形を持たない。
でも、確かに。
創造は始まっている。
第7話を読んでいただきありがとうございます。
創造は、内側から始まります。
次回、七つが少しだけ重なります。
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