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9新たな生活

エステバルとフランは魔の森にいた。

エステバルの杖が未だ貰えていなかったからだ。フランは経験があったため二人で、精霊樹まで来たのだった。エステバルもフランも戦闘には自信があったし魔法も得意だ。難なく精霊樹の元まで来た。

エステバルの枝は、真っ赤な色と黒い色だった。火の属性と闇の属性が、エステバルの得意魔法になったのだ。戦闘には最適だ。然も彼は剣術が上達していてもう直ぐレベルアップをするだろう。

ただ、気になることは、エステバルの目だった。復讐に捕らわれている目だ。

彼は、トンプソンとは小さいときから,まるで兄弟のようにして大きくなったのだ。多分、何時か彼はあの隣国の魔術師達に復讐するのだろう。フランからは何も言えない。気持ちが分っているからだ。


ここはリスト辺境伯の領地に面していた。何時も隣国タラン公国と諍いが絶えない危険な場所だ。

その気があれば、直ぐに仕官出来る。院長からの紹介状を貰ってあった。ここボーア国と、リスト辺境伯にもどちらでも仕官しようとすれば出来た。

しかし、貴族だって国と変わりはしないと、二人は考えた。

国の為に尽くしても,認められない。それよりは自由民として生きてゆく。

フラン達はバスの所へ行き、冒険者に成ることにした。年齢は十二歳と偽った。バスも黙って後見人になってくれた。エステバルも同じだった。


そして何時か仕返しの機会があれば,躊躇無く殺す。それまではコツコツと実力を付けてゆく。

そういう風にエステバルが考え、フランも同じだった。

「エステバル、僕達には、魔法袋が必要だ。院長から貰った本に作り方が書いてあったから,僕なら作れる。闇の魔獣ダークスネイクを取ってくればその魔石と革で作ってみせるよ。一緒に狩りに行こう。」

「分った。なるべく大きいのを捕まえよう。」

フラン達の気持ちを一番強く心配していた院長は,餞別に色んな物と金子を持たせてくれた。今までで、一番の生徒が,路頭に迷わないように気遣ってくれたのだ。

「儂の力及ばず、君たちに苦労をさせる。」

と、泣いて別れたのだった。


「あそこの木の上にいたぞ。」

「少し大きすぎないか?」

「大丈夫だ。俺ならやれる。闇の魔法で近づいて,首を落とす。」

「僕も行く。闇なら得意だ。」

「フランは,何でも得意だろ?」

二人は目を合わせてにやりと笑った。素早く木に近づき、獲物に見せかけた大ネズミを地面に死なないように縛り付けた。キーキーと啼いて、ダークスネイクをおびき寄せている。フラン達はその側で,じっと闇の中に隠れていた。

突然違う木から、別のダークスネイクがネズミに襲いかかってきた。直ぐに上にいたダークスネイクも降りてきてしまった。エステバルは、慌てず、直ぐに一匹目を仕留めフランも二匹目の首を落とした。

「凄いな,一気に二匹仕留められた。」

フラン達は,その足で,バスのいる宿に帰ってきた。

「バス、取ったぞ!」

「おおー!大物じゃあないか。お前達、本当に初心者か?」

皆で笑い合い,フランは早速、魔法袋の製作に取りかかった。

大きさは十分だ。魔石を取り出し、革は鞣し、肉は小分けにして今夜のごちそうにと宿の亭主にやった。

蛇の皮は柔らかく,袋に作りやすかった。腰に付けるタイプと、肩に斜めに掛けるタイプを作った。

魔石には魔方陣を刻む。闇の魔力を通しながら,慎重に刻んで行き、一晩掛けて,1つ作り上げた。

「バス、これを使ってくれ。今までのお礼だ。」

バスは喜んだ。一介の中堅冒険者にはなかなか手が出ない代物だ。

「俺も,ダークスネイクを取ってくるから,もっと作ってくれ。そして安く冒険者に売ってくれないか。」

「良いけど、ある程度の大きさがなければ,魔石に魔方陣は描けない。なるべくでかいのを取ってきて。それと、革は鞣して持ってくれば早くできるから。」

「オオ、分った。」

それからは,バスとエステバルが狩りをして、フランが魔法袋を作る事になった。

かなりの魔法袋が出来上がった頃、フランの仕事もやっと終わりが見えてきた。

「もうそろそろ、皆に行き渡った頃だ。もう僕も魔獣を倒しに行きたいよ。」

そんなことをしている内にフランも十歳になっていた。


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