5魔法学科
この施設は、魔法神殿学校と言われているが、国の人々は、只、神の家としか認識していない。
詳しく知っているのはこの学校に在籍したことがある人のみだ。その数は決して多くない。
貴族の間でも知る人は少ない。それでも孤児であると言うことは知れているので、余り良い印象はないようだ。一部の理解ある貴族に寄付を募り運営されている。
ここを開設したのは、孤児院の院長だった。
魔術師の彼は私財をなげうって、孤児院をつくり、そこから才能のある子供を魔術師にして行った。
今年で40年しか経っていないので、知られていないのは仕方がないことだろうが、ここの卒業生は、各地で活躍しているのに、未だに認めて貰えていない。
昔の魔術師は、弟子を取り、それを育てていたため、魔術師は極少数しかいなかった。
今はその頃の倍以上の魔術師がいる。
学校の成り立ちを習ったが、なるほど、ここでは魔術師の地位が低いのか。フランは自分が何故、母に泣かれてしまったかを今理解した。騎士よりもかなり低く見られていた。
悲しく感じた。魔法という素晴らしい物がその様に軽く見られていたなんて。
市井でも、魔法を使っている人を見かけるが、その人達は別に馬鹿にはされていなかった。
魔術師となると、色眼鏡で見られるようだった。
一番の理由は、あの術を施すのが敬遠されているのだろう。確かに仕方がないことだ。
魔力は性と密接な繋がりがある。成長期と共に魔力が上がってゆくが,性がそれを阻害するという。
市井で魔術を使っている人達は,余り威力は無かった。それでも便利に使っていたけど、僕らの魔法はあの比ではない。威力が何倍も強い。未だ6歳の使う魔法でも、市井の人々より強くなったのだ。
これからフランには、上級になる為の試験がある。
初級、中級と順調に進級できた。トンプソンもエステバルも一緒に進級する予定だ。
上級試験に合格すればフランは最年少合格者だ。
上級は,今までのように同じクラスとは行かない。それぞれ選択科目に進むからだ。
戦闘科、錬金術師科、薬師科にわかれてしまう。
フランは錬金術師科に進むことに決めていた。
エステバルは戦闘科、トンプソンは薬師科にそれぞれ進む。
「エステバル、トンプソン、お互い授業が終わったら,教え合おうよ。そうすれば前部覚えられる。」
「相変わらずだなフランは。寝る時間が無くなってしまうぞ。」
「平気さ。だめなら、教科書を貸してくれ。」
「ああ良いよ。でも君のは入らないよ。僕らは自分の勉強で精一杯だ。」
フランは卒業できる10歳までは,なんとか頑張って総てを覚えて仕舞いたいと考えていた。
その後の道は,未だ考えていない。
兎に角覚えたいそれだけだった。