18錬金術師の仕事?
フランは一人部屋に籠もって建築の本を読んでいた。
「これなら僕でも出来そうだ。」
フランは小さな小屋を作りたかったが、場所がない。冒険者ギルドで土地を探してくれと言ったら、村の外に沢山土地があるのだから勝手に使えば良いと言われてしまった。
ここいらは、土地の価値がゼロらしい。
土地を使える様にするまでが大変だからだろう。魔獣の侵入を防ぐ塀がなければ只なのだ。
だったら、村の石塀の直ぐ裏を貰うことにした。ここは宿屋の裏側に当たる。バスとすぐに会うことが出来そうだ。
まずは石壁だ。村の石壁より高くする。30メートル三方を囲う。村の石壁に階段を設置して、宿屋と行き来出来る様にした。ここでギルドの人に来て貰い許可を取った。大丈夫だというので、宿屋側にも階段を付けた。
これで安心して小屋を作ろうとしたら、村長が来て、
「これは、若しかして魔術師の方ですか。そうですか。御願いがあります。村を広げたいので、村の周りに石壁で大きく囲ってくれませんか?塔のお館様からは許可を取ってきますので。」
暫くして許可が下りた。トーマスマンから許可があるなら大丈夫だろう。ここは元々トーマスマンが作った村だそうだ。
多分フランの修行になると思って許可を出してくれたのだろう。
施工費を払うと言われたが、断った。これは練習だ。お金など貰えない。
自分が広げた部分につなげて石壁を造ってゆく。かなりの大仕事だ。3ヶ月掛かった。
よし今度こそ、自分の小屋を作ろう。しかしまた邪魔が入ってしまった。
元々あった石壁に通り抜けることが出来る様に所々に出口を作って欲しいと言われた。
「それでいいなら初めから言って欲しかった。バスの所に階段は必要無くなったな。」
今度は穴開けだ。数カ所に穴を開けてやっと今度こそ自分の小屋を作ることが出来た。
ここの施工費の代金の代わりにフランの土地はただだと言われた。
最初からただだったはずだが変な仕組みだ。自分で作って褒美にされた。
別にお金は貰うつもりはなかったが、釈然としなかった。村が広がったので村の持ち物になったと言うことなんだろう。
バスの宿屋の土地と繋がったお陰で、宿屋も広々として良い感じになった。
今度は宿屋を改築してやろうか。少し手狭になってきたようだ。
そんなことをしていたら、フランも13歳になろうとしていた。この頃のフランは、急に背丈が伸びて、立派な青年になっていた。
宿屋の改築計画を立てていたら、エステバルから久し振りに通信が入った。
「フラン。ボーア国の国王が亡くなった。次代も暗殺された。孤児院の院長も死んで仕舞った。」
悲痛な声で話し始めた。バスと二人でそれを聞いて、フランは
「僕がそっちへ行こうか?」
「いや、この国はもう無くなるだろう。俺はここで国の終焉を見届けたら帰る。それに・・・兎に角もう少し此処に居ることにする。」
そう言って通信を終わらせてしまった。
「バス、エステバルは大丈夫だろうか。なんだか悲しそうだった。何か大変な事になっているようだった。他にもなにか言いたそうだったし。」
「大丈夫さ、彼奴はちゃんと考えている。多分孤児達の面倒を見ているのさ。若しかしたら、孤児達を連れてくるかもな。」
と、楽観的な言葉を言った。
エステバルとは連絡を取り合いながら、宿屋の改築が終わった。
宿は今までよりも少し大きく作った。更にフランの広げた土地に風呂を作った。風呂は前世の銭湯のようにして、宿の客が自由に入れるようにした。知り合いのリザードマンもここに来るようになったので、フランの小屋は、宿屋の別館のようになって仕舞った。
仕方がないので、村からかなり離れたところに塔を作る事にした。勿論トーマスマンには許可を取った。塔なら、土台を強くしなさいと言うアドバイスも貰った。
土台は大きく強くしなければならない。地中深く杭を打つように土魔法で固めてゆく。
塔の完成はまだまだのようだ。