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16亜人との遭遇

この沼に住む亜人は、リザードマンと言うらしい。

トカゲのような見た目だが、手足は人間の様で知性があり、彼等特有の言語を話す。

人間のことは敵視しているようだ。魔獣と人間のどちらの特徴をも持っているという。

魔法も使える個体が居る。体内には魔石があり、そのため魔獣、魔物扱いを受けているという。

フランは、未開地に住む原住民ではないか。と考えていた。

言葉が通じないから、お互い誤解しているだけだと。でも、甘く見ていたわけではない。十分に用心して沼に近づいたのだが、捕まって仕舞った。

彼等が仕掛けた罠に嵌まってしまった。分らないように敷かれた網の上を通った途端に網がグイッと絞られ、其の侭木の上に吊るされてしまったのだ。

エステバルは少し離れて居たので罠からは逃れられたが、フランが捕まったので、そこから立ち去ることもできず、闇に隠れて様子を見ることしか出来なかった。


リザードマンの居住区は沼の中程にある浮島だった。葦のような物を組んだ家があり、そこに大勢で住んでいた。彼等は、30人くらいの家族らしい。フランは、

「僕が今夜のごちそうになるのかな?」

と呑気に構えていた。逃げ出そうと思えばいつでも逃げ出せる。しかし、この亜人達に興味があった。

折角、彼等の生態を知ることが出来そうなのに、逃げ出せば知ることは出来ないだろう。

エステバルもその事が分っていたので、フランの様子を影に隠れて覗っている。

「キーキッキー。」

「キュウルルッ」

何か話しているがやはり言葉が分らない。会話は無理かな。そう考えていたとき一匹?のリザードマンがこちらに来て拘束されていたフランに向かって話し出した。

「ナニシニキタ。」

「!」

「ナニガホシクテキタ。」

話している!通じる!

「僕は、リザードマンに興味があった見に来ました。」

何やら話し合いがあった後、拘束が解かれた。フランは、お土産として、魔法袋を渡した。

リザードマン達はそれを見て興奮状態になってしまった。

そして彼等のごちそうであろう、魚や、藻の焼いた物をフランに食べるように差し出した。

味はまあ、言わない方が良い。だが心づくしの物なのだからと、フランは一生懸命食べた。

それを見ていたリザードマンは、笑うような仕草をした。

そしてフランから、食べ物を奪い取り、地面に捨ててしまった。フランは何か自分が粗相をしたのかと慌てたが、別の食べ物を差し出されたので、理由が解った。フランは試されたのだ。

今度差し出された食べ物は焼いた魚に果物、水性の植物を、美味しく味付けされた物などであったからだ。

「試して悪かった。人間がどうするか見てみたかった。ふは、は。」

「随分流ちょうにしゃべれるのですね。僕達の言葉を何処で覚えたのですか?」

「私達は、良く人間の村に行っている。人間に化けてな。」

ビックリだ。彼等は姿を変えることが出来るようだ。人間に変わった姿を見せてくれたが、それほど違和感はなかった。一寸目が離れていて、手足がひょろ長い程度だ。

この話してくれたのは女性だったようだ。リザードマンの部落には男性が少なく女性が殆どだ。

ここにも偶に人間が来るようだ。何かを探しているようだが、未だに分らない。

こちらに来る人間は魔法を使っている。と言う事は、魔術師の可能性がある。彼等は、もしかしたら精霊樹を探していたのかも知れない。トーマスマンかもな。

フランは精霊樹のことを話してみた。それに似た木は無いか聞いて見たが、首を横に振られた。

「精霊樹というのは我らには分らないが、我らには、守り樹というのがある。守り樹は、水の中にあって、人間には行くことは出来ない。守り樹は、命の実をくれる。これがそうだ。」

差し出されたのは、海ぶどうのような見た目のプツプツした物で、これを薬として使うと言う。

フランは命の実を貰ってこの沼を立ち去った。


「フラン。お前勇気あるな。俺なら速攻で逃げ出してた。」

「面白かったな。それにこの命の実は、多分凄い物だろう。薬師の本にも載っていない物だ。これで傷薬を作ってみるよ。」

それに、今度は、人間の村に来たリザードマンも見分けることが出来る。

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