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13初めての講習

新人講習では、パーティーを組んだ。

1つのパーティーで6人。フラン達は一緒の組にして貰った。

フラン達の他のメンバーは、総て女子だった。12歳の女の子だが、もう大人に成長していた。

エステバルが自分は魔術師だというと女の子達は、

「なら安心ね。魔術師はインポだから。」

と言われた。そうか僕達は魔術師だから、女の子達と組まされたのか。フランは納得したが、エステバルは凄く落ち込んでいた。

「別にインポな訳ではない。もう直ぐ成長期が終われば、僕達だって普通の男になれるんだ。」

一生懸命エステバルを励ましたフランだった。

男は女子と比べて成長が遅いのは、何処の世界でも同じだ。

女子がいるのはフランのパーティーだけなので、他のパーティーの男達には睨まれるし散々な一日だった。


近場の草原へ行き薬草の見分け方と、冒険者のマナー、獲物の裁き方。そんな初歩的なカリキュラムで講習は終わった。

「ねえ、私と組んでくれない?未だ、ソロは無理だし、他は皆決まっているみたいだし。」

同じパーティーだったクリンという女の子が、フラン達に頼んできた。

田舎から一緒に出てきた仲間が、別の組に引き抜かれて、置いて行かれたらしい。可哀想なので暫く組んでやることにした。

フラン達は安パイだと思われての申し込みだ。そりゃあ、女の子にしてみれば、自分の身を守るためだ。仕方がないことだ。

クリンはお金がなくフラン達と同じ宿を取るという。

「僕達は大部屋だから無理だよ。」

「だったらパーティーで一緒の部屋を取りましょうよ。さあ行くわよ!」

押しが強くて、エステバルやフランでは太刀打ちできそうにない。バスが帰ってきたらなんというか心配だ。彼は魔術師ではないとクリンに言ったのに、

「平気よ。こう見えて強いんだから、私。」

女の子に対して、免疫がない二人は、どう対処して良いか分らない。早くバスが帰ってきてくれますように、と祈っていた。


この国でも魔術師は希少な存在だったが、忌避感は無い様だ。

冒険者ギルドの中には1人の魔術師がいたがギルド長をしていた。65歳だそうだ。

ギルド長は、普通の杖を持っていた。精霊樹の杖はこちらで持っている魔術師はいないと言うことだ。

精霊樹は北にあると言うことは知られていたが、捕りに行くことは出来なかったそうだ。

フラン達は精霊樹とはなんと貴重な物かと再認識した。

精霊樹で作った杖は、本人しか使う事は出来ない。ギルド長は杖を見て物欲しそうにしていたが、貸してあげることは出来ない。その代わり、精霊樹の有る場所を教えてあげた。

今あの国はどうなっていることだろう。もしタラン公国が利権を持ったら、魔の森は他国に開かれるだろうか?もう考えても仕方がないことだ。


クリンは、さっさとパーティーの部屋を取ってしまい自分のベッドで休んでいる。

フランとエステバルは隅っこで小さくなっていた。そこへバスが帰ってきた。

「オイ。急に部屋替えするから、迷ったじゃな・・・。」

目の前に女の子が寝ているのを見たバスは、口を開けたまま立ち尽くしていた。

三人して隅っこで固まって、こそこそ話し合う。

「どうするんだよ。これから一緒の部屋か?」

「そうみたいだ。どっちにしてもお金を稼がないと、どうしようもない。」

「今日の稼ぎはどうだったバス?」

余り結果は良くなかったみたいだ。

やはり、バス一人だと大物は狙えない。今日の宿代しか稼げなかった。

次の日から、山裾の森まで行ってダークスネイクを探そうと言うことになった。

山の頂上付近は木が疎らになって仕舞い、ダークスネイクは居そうになかった。

次の日クリンは具合が悪いと言って、宿で休んでいる。

どちらにしても、クリンは置いていくつもりだったので、三人は急いで宿を出た。

山裾までは3時間の距離だ。目当ての獲物が見付からなければ、泊まりになるだろう。


「そっちにいそうか?」

多分居ないだろう。ここは北とは違う動物や植物ばかりだ。

鑑定を掛けても知らない物は、名前しか出てこない。やはり鑑定とは、ただの知識の集積だ。知識が無いと使い物にならない。こちらの植生が描いてある本を手に入れないとだめだ。

鑑定が万能でなかったことに、フランは気落ちした。

1つ鑑定に引っかかる名前があった。『闇リス』とは、闇の属性持ちということでは無いだろうか。

「エステバル、木の上にリスがいる。そっと近づいて捕まえてくれ。」

エステバルは分ったと言って、闇の影に隠れて近づき簡単に捕まえてきた。

調べてみると、確かに闇の属性持ちだ。大きくはないので大した魔法袋は作れないだろうが、小さめでもこちらでは売れる。近場に見付かった闇リスを6匹捕まえ、その日はここに野宿することにした。

次の日は大物を狙おう。

この森には大きなイノシシ、鹿、毛皮が高く売れそうな大型の猫科の魔獣、などがいた。

蛇もいたが、只の毒持ちだ。これは薬になるので一応捕っていこう。

森の奥に進むと泉を見付けた。そこで水浴びをしていると、水の中に魔石が一杯落ちている。

皆ビックリして、それから嬉々として魔石を拾いまくった。

暫くすると泉の中から、竜が現れた。ここは水竜の縄張りだったか。

『これは凄い獲物だ、絶対仕留めてやる』とフランは思った。

バスを水から上がらせてせて、エステバルとフランは影に隠れ、水竜を倒そうと両側から挟み撃ちにした。

水竜には、エステバルの火属性の槍が効果があるだろう。フランも同じ火の槍を打ち込んだ。

水竜は為す術無くあっけなく倒れた。

三人は意気揚々と冒険者ギルドに獲物を持ち込んだ。

ギルドでは大騒ぎになった。あのあたりは危険で、誰も入って行けない場所だったそうだ。

水竜の素材はフランも欲しい。一応討伐の保証金だけ貰い、素材は肉以外は売らないことにした。

それでも凄いお金が手に入った。

これで暫くは安心だ。後はゆっくりエステバルとバスで冒険者をしてゆけば良い。

フランは、魔法袋などを制作することに決めた。




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