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第4話 第2会議室の代わりに…

いざ、駅前のラブホテルへ!

「秋里…!」

「麗…!」

二人は口付けを交わす。

まぁ、こういう展開になるよね。

(これでは、出るに出られませんな…。さて、どうしたものか…)

ここは女子トイレである。

うっかり個室の中にいた寧々は二人の甘いやりとりを聞いて、全てを察した。しかし、この世界では『透明化』が使えない為、出て行くわけにもいかず、大人しく籠っている。

そこへ。

「あっ……っと、邪魔したな」

二人が抱き合っている所へ入ってきた瑠璃はさっさと出て行こうとする。

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

「いや…どう考えても私はお邪魔だろう?」

瑠璃はそう言って出て行こうとするが、秋里はその腕を掴む。

「秋里達のこと…社長に話す?」

「いや…私から話してどうするんだよ?…ていうか、個室のドアがひとつ閉まっているのが気になるんだが」

「あっ……」

麗の顔が真っ赤になる。

寧々が個室から出てくる。

「助かりました、瑠璃殿。…えっと、その…決して盗み聞きしていたわけではなく…」

ようやく出てくることが出来たが、一部始終を聞いていたので居心地が悪い。

「ごめんなさい、全然気付かなくて…」

「つい、夢中になってしまって…」

二人共、ここは会社ですよ。

「秋里は社長のことが好きよ。でも…麗に恋をしてしまったの…」

「私は一目惚れでしたわ…」

二人共、ここはトイレですよ。

「…まぁ、話は後でゆっくり聞くけどさ」

そう言って瑠璃はドアを開けると、

「あと5分で昼休み終わるよ?」

その言葉で、皆はとりあえず仕事に戻った。

(やれやれ。…それにしても、秋里が麗とそういう関係になるとはな…。これで、マヤリィ様と私が愛し合っていても、秋里に殺される心配はなくなったということか)

瑠璃は展開の早さに驚きつつも安堵した。

誰にもバレていないのだが、実は最近、退勤後に社長とラブホ通いしている。

「社長、髪をお切りになりましたか?」

嵐樹は女性の髪型の変化に気付く男である。

「ええ。さっぱりしたくなって、こんなに短くしちゃったわ」

真綾は短く刈り上げた髪を触って微笑む。

「とてもお似合いです。カッコイイですね」

嵐樹はさらっと女性を褒める男である。

「ふふ、ありがとう」

嬉しそうに微笑む真綾。女性らしい顔立ちや物腰や喋り方でなければ、男性と見紛うヘアスタイルである。

そんなわけで、ホテルに入る際は、美魔女が年下の美青年を連れてきたという体を装う。

それ、意味あるのか?

「マヤリィ様、その為に御髪をお切りになられたのですか…?」

元々ベリーショートだった真綾の髪がさらに短くなっているのを見て、瑠璃が訊ねる。

「貴女の好みかどうかは分からないけれど、男女のカップルに見えた方がホテルに入り易そうじゃない?」

女子会プランもあるけどね。

そして、何事もなくホテルに入ると、独特の雰囲気を愉しむ。

流転の國の第2会議室とはまた違った趣きのラブホテルの一室である。

「さぁ、ルーリ。私を抱いて頂戴」

「はっ。貴女様を抱かせて頂きます」

そう言って、マヤリィの服を脱がし始める。

マヤリィの身体はいつ見ても綺麗だが、その手首には何度も線を引いたような傷痕が残っている。脚にも数ヶ所そういった傷痕があるが、マヤリィは何も言わないし、ルーリも何も聞かない。

「失礼致します、マヤリィ様…!」

ルーリはマヤリィを裸にすると、足を開き、クリトリスを舐め始める。

今の彼女はサキュバスではないのに、やたらセックスが巧い。マヤリィの身体を優しく引き寄せて体勢を変えて、貝合わせまでやった。お互いの女陰をくっつけると、なんともいえない幸せな気分になる。自分という女の大切な部分を相手に差し出し、それを優しく受け止めてもらえた気分になる。マヤリィとルーリはお互いの愛液を感じながら、なかなか貝合わせをやめなかった。

その後も、二人は身体を寄せ合い、時間を忘れて情事を愉しむのだった。


一方、別のカップルは…。

「麗、その髪、どうしたの!?」

「男と女のカップルに見えた方が、ラブホテルに入り易いでしょう?」

誰かと同じこと言ってる人がいる。

秋里は驚いた。退勤後、秋里と麗は少し時間を置いて駅で待ち合わせしていた。しかし、先程までは確かに肩まであったはずの麗の髪が、男のように短く刈り上げられていたのだ。

「駅前に床屋さんがあったでしょう?女でも切ってくれるって言うから男性に見えるくらい短くして下さいって言ってやってもらったの。…こんなに短くしたのは初めてなのだけれど、変じゃないかしら」

麗は少し恥ずかしそうに、

「貴女の彼氏に見えたら…嬉しいわ」

側頭部も後頭部も短く刈られた麗の髪。

秋里はそのイケメンぶりに見とれてしまう。

「凄くカッコイイわ。…秋里の為に切ったの?」

確かに、今の二人が並ぶと男女のカップルにしか見えない。

返事をする代わりに麗は秋里を抱きしめて、

「さぁ、ホテルに行きましょう?秋里、貴女と過ごす初めての夜ね…」

耳許でささやかれ、秋里は頬を染めた。

白人のイケメンと可愛らしいOLがラブホに入る。身長差はかなりある。

「貴女の身体…本当に素敵だわ…」

「あっ…恥ずかしいわ……んっ…」

秋里は同性愛者ということもあり、実は初めての性行為だった。

「あんっ……」

麗の方は初めてではなかったらしい。頬を紅潮させつつも余裕の表情で、可愛らしい恋人の裸を余すところなく見つめている。

「秋里…大好きよ…」

高く澄んだ声とは裏腹に、今の彼女は短髪の優男にしか見えない。ペニスの代わりに細く長い指で攻められ、秋里は絶頂を迎えた。


次の日、何事もなかったかのように出社した麗は皆から髪型について質問攻めにされた。

「急に切りたくなってしまって…。短くしたいと言ったら本当に短くされました。しっかりバリカンで刈られましたわ」

まぁ、ほとんど真実だ。

(まさか、マヤリィ様と同じ理由で…?)

瑠璃は気付いたが、何も言わなかった。

それから、麗の髪は少し伸びるたびに短く整えられるようになったという。

バリカン好き女子は、どこへ行っても変わらない。

スピンオフの初期設定→肩まである髪。


床屋さんで髪の毛切っちゃうシャドーレさん。

案外、彼女にはこの世界も悪くないのでは…?

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