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凱旋

 「っと、とりあえずこれくらい集めておけば問題なさそうだね。固めておくから運び出しは任せたよー?」

 オーラをまとわせつつ、ひとつの塊とした青い牙をこちらへ手渡しながらもそれは崩れることなく、個として存在を確かにさせていた。先ほどの衝撃で近くにあったものは砕け、細かくなっていたものを丁寧に集めてこれほどまでの大きさとしていたのには素直に感謝をするしかなかった。

 「にしても、素質がしっかりとあるならちゃんと鍛えてあげなきゃ。勿体ないんじゃない?」

 こちらへと振り向けばずいと顔を寄せてくる。流石に近いと眉間にシワを寄せてはふいと顔を逸らす。

 「だからしっかりと鍛練は欠かさずに来たし……武器の扱いをうまくするために多くの時間も使ってきた。それに間違いはないと思うんだけれど。」

 追加先日あったばかりの相手に自分のやり方を否定された気がして正直腹も立った。しかし今まで自分では知らなかった現象に出会ったのも事実だったため大きく否定もできないもどかしさに少し言葉を濁してしまう。


 荷物を抱え洞窟を出ようとする最中

 「んー……なんだろう。何も武を示すことが勇者…とは限らないんじゃないかい?強さこそが正義だ、なんて言うのは流石に脳みそ筋肉かと言われても仕方がないような……いや、仕方がないよね。」

 そう言い終えるとラティはポンと自らの手と手を叩き音を立てる。

 「そうだ、ちょいとこの任務終わったら私の街に寄りなよ。良いところ紹介してあげるからさっ?」

 にまりと笑みを向けつつ此方の顔を覗き込む。大きな塊を抱える視界には少ししか映らないものの何か良からぬことでも考えているんじゃないだろうかなんて不穏な気持ちになる……が、困難のひとつだと思えばむしろ望むところだなんて気にもなる。

 「……わかった。私がひとつ成長するための一歩だと思えば引けないよね……。でも意味がないと思えばそれまでだから。」

 

 洞窟も入口付近へと近づき明かりが見えてきた。やっとかと先ほどまで疲れ果てていた足取りも少し軽くなり外に出ようとする途中、外から誰かの叫び声が聞こえた。聞き覚えのある声、それと何か奇妙な轟音……その答えを知るべく外に踏み出たそこは火の海と化した先ほどの平原だった。緑豊かだった光景とは変わっており焼焦げた地、澄んだ川も浅黒く濁り灰が降り注いでいるようだった。

 「どうして急にこんな……、まさか……これ……っ!」

 私は手元に持つ巨大な塊へと視線を移す。先ほど誰かが言っていた、巨大な魔力に引き寄せられるのが魔物だと。こんな大きな魔力が動けばそれに引き寄せられる可能性が大きくなると。

 空が暗くなった。私はゆっくりと空を見上げる。闇夜ではない。そこには真紅に染まった大きな体躯のドラゴンが洞窟の頭上へと降りたち、此方の瞳孔を静かに眺め視界へとおさめていた。

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