青天の霹靂……でもなく
「え?」
「え?」
……このやりとりはもういい。聞きたかったことはこんなことじゃなく、勇者としてこの先どうしていけばいいか。発声練習をすれば声が良くなり、宿屋などで割引サービスでも受けられるとでも言うならひとつのアドバイスにでもなるのだろうが。
「……改めて聞きたいのだが、この先どうすればいいだろうか。仲間を見つけ共に行動をしたほうがいいなどあるか?」
私は質問を少し深く聞いてみることにした。
「そうですね……、一人よりは大勢いたほうがやれることは増えると思いますが。あくまでも貴女が中心となるはずです。募るならサポート役の方をオススメしますね。」
なるほど。これは真っ当な答えかもしれない。要するに私が前線に突撃し、敵を蹴散らしていけば良いと言うことだろう。回復や補助は味方に任せることで戦いに集中することになるし、真っ直ぐな私の性格的にもぴったりだ。
「あとはあれですね、誰かの前で実力を見てもらうこと。自分の中だけで優劣をつけるのではなく評価をもらうことで修正しやすくもなりますから。」
玉蟲色のフードを外しながら診断士はにこやかにこちらに笑みを向ける。整った顔立ちで淡い灰色の髪色の女性は同性の私から見てもとても美しく、王室の姫と伝えられても納得するほどだった。
「そうか……わかった。では仲間を集めた後、実践の最中アドバイスをしてもらうか……。人を探すならやはり酒場だろうし、早速行ってこよう。診断に感謝する。」
そう伝えると自らの懐に手をいれ、群青色の袋から金貨を3枚取り出すと診断士の手へ置いた。。安くはないが良い診断をしてくれたのだから何も痛くはない。
「ありがとうございました。貴女の未来に幸福がありますことを!」
深々と礼をされるのを後に見ながらも診断士は次の者へと対応を始めたようで、まだ診断されて居ないであろう者は数十名といつ終わるかも予想がつかない。
この中から声をかけてみるかとも思ったが、まずは昔一緒に勇者ごっこをした友の家族が開いている武器屋へ、装備の調達もかねて向かうことにした。