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感謝アンド感激

 あ〜ヨイショ♪こー…らヨイショ!


 特に声を出すような力の入れ方をしていないだろうに声色は明るい。意識を失ったツンツンヘアーの一部は平たく調教され、押しつぶされて寝てしまっている。荷物と同じようにタポルも浮かばされているもののそこに誰も文句を言うことはなく歩み続ける。最初から荷物のように紛れているように見えてはやはり荷物にしかならなかったかと改めて思い知らされた。


 とりあえずは町外れの川へと歩みを進めた。ここは町の高台からも見えるため特に迷うことはない。まずはお目当ての【赤い泥】これからだが、辺りを見回しても赤いものは見当たらない。こういうときのための知識役、トサーロに私は視線を向けた。既にトサーロは書物を手に取っている。


 「なるほど……、何か特別な物体を取り込んだ泥なのか。それが赤く見える……まぁまともな代物ではないんだろうな。」

 泥という常識で捉えるなと言うことなのだろうか。私は再度辺りを見回しつつ水辺と近づいた。その瞬間。水面からバシャ!と大きな水音と共に何かが飛び出してきた。


 これが魔物……皆が言うにはスライムと言われる生物らしい。私は木刀を腰から抜き取るとすぐに臨戦態勢を取る。

 「いざ、……勝負!」

 私はそのまま距離を詰めるとどこが頭部かもわからない敵へと勢いよく木刀を振り下ろした。  

 べチィ! べチィ!


 2度、続けて3度目と振り下ろそうとしたが既に相手は動いていない。しかし私は油断しない。

 べチィ! べチぃ!ブチッ、バチィ!ベチャ!ベチョ!

 見た目は青色の肌であった相手もやはり血は通っていたのだろうか。数発打ち下ろし、表面を突き破れば内側から鮮やかな赤色の血が吹き出した。その血は川へと飛び、水流と共に流れていった。

 

 「えぇ……。強引……大胆……」

 宙へと浮かせていた荷物をドスン、有機物をドン、と落とせばわざとらしく口を押さえ驚く素振りを見せる。フライパン器用に武器としていた人が何を言うんだろうかと思ったが、戦闘の手応えは悪くないように思えた。


 「やるからには本気にならないといけないから。戸惑って隙を見せるのはよくないでしょう?」

 そう言えば木刀の剣先に付いた血の跡を見る。木刀が全て赤く染まり上がる頃には立派に経験値も溜まったと言えるだろうかと、自らを奮い立たせる基準のひとつとした。


 黒いローブの女性はないないと自らの顔の前で手を左右へと振りつつ呆れた表情をしながらも歩みを水面へと向けた。そしてひとつ川底の土をすくい上げると近くの岩肌へそうとうな量を置いた。

 

 「さてと、勇者さまが敵を倒してくれたようだし。ほら、その剣をこの泥で洗ってごらん?」

 ネタネタと泥を平手で叩きつつ誘ってくる。それになんの意味があるのかわからないまま、怪しさを感じつつも木刀を泥へ寝かせてみた。 

 泥に埋めさせてはゴシゴシと岩肌にこすりつけるように木刀を寄せると、みるみるうちに泥は赤く染まってきた。


 「そう、この泥はね。中に細かな魔力が残っているんだ。それが魔物の血と混ざり、装備に力を授けてくれるんだよ。簡単でしょ?」

 そう言っては木刀をこちらへと返してくる。なるほど、先ほどより剣先が鋭く、光り輝いているように見える。言うならば木刀/レベル2 といったところだろう。

 「きっとこの依頼を提案した人は自らの腕で鍛える事の大切さ。それを伝えたかったんじゃないかい?」


 なるほど…オッズさんならありえる話だ。ありがとうオッズさん。ありがとう装備の神。ありがとう聖人さま。

 そう言っている所にまたしてもスライムが現れた。私は戸惑うことなく、わからない相手の頭頂部目掛けて木刀を振り下ろした。

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