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呼んでいないし招かれざるもの。

 夜も明け、私は朝食に軽くパンとミルクを栄養として取った。そう思えるほどに味も感じなかったし空腹を満たす意識もしてなかった。

 「今日ここから私の冒険は始まる……!」


 そう呟けば意気揚々と扉を開く。腰には使い込まれた木刀に水を多く摘んだ水筒、背のリュックにはしばらくは持つであろう量の携帯食料をしまい込んだ。日帰りはおろか、二三日は帰ることはないだろうと思って前夜にまとめておいた。

 すこしの重さを感じつつも、集合場所として広場へ今日も足を向ける。既にそこに居たのはレイン、トサーロと……あいつは誰だ。顔が腫れてしまっており最初は誰かわからなかったものの……そうか。

 

 「タポル。なんでここに居るの。呼んだの覚えはないんだけれど。」

 私は皆が集まり話をしている中、呟きつつ会話に入った。

  

 「いや、こんな楽しそうな事俺を放っておいて勝手に進めるなよなっ。とりあえず俺も連れていけよ、毎日同じことの繰り返しなんて飽き飽きとしてたからよぉ。」

 腫れた頬でモニョモニョと言葉を続けている。通訳をしてくれないとわからないほどに言葉が聞き取れないが、おそらくこのようなことを伝えたいに違いない。


 「タポルに出来ること。じゃあ荷物持ちで。足が速いなら少しくらい重量過多でも大丈夫でしょ。」

 そう言えば背からリュックをおろし相手へと差し出す。それを見た仲間も次々に荷物を手渡していく。フライパンに辞典に、調味料に採掘道具にと覆い尽くされるほどの荷物にタポルの両手は関節から千切れそうになっている。物理的にだ。

 ぷるぷると膝を震わせながら何とかと荷物は持ち、動けはするものの戦力としては期待できそうにない。元々からだから仕方ないだろうが、タポルにここから先は踏み込むべき世界ではないとわからせるためだ。ひとつの愛だと思ってくれることを願おう。


 そして皆で意気込むべく、天へと拳を突き上げれば、オー!と声を上げた。ひとりは今にも絶命しそうな声ではあるものの踏ん張りを見せる。ガッツはあるようだ。


 そのまま皆で村の出口へと足を進めていけば不意に視界に黒いローブを羽織った人影が見えた。私は視線を向けつつ軽く身構えると、そこには昨日声を交わした女性が此方を見ながらヒラヒラと手を振りゆっくりと近づいてきた。


 「おー、これはこれは昨夜のかわい子さん。今から歩みだすならお手伝いしちゃうよ?」

 そう言いながら指をパチンと鳴らす。すると生まれたての馬より酷い足腰の弱さを見せるタポルが驚いたように声を荒げた。荷物が宙に浮きタポルの負担がゼロになったのだ。


 「スッゲぇ……なんだよこれ! かなりハイレベルな魔法なんじゃないか!?」

 興奮したように黒いローブの女性へと走り近寄る。そうはさせまいと浮かせたままのフライパンを指先でくいと引けば器用にタポルの後頭部へと走らせつつ勢いよく振り抜く。乾いた金属音を周囲に響かせた。


 「どうだい?色々とお得、かもしれないよ?」

 怪しげな笑みを浮かべながらも再度自分を売り込む。……私は少し……も戸惑うことなく首を縦にした。


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