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4話 魔法部隊



「待っていたよ」


城に着くと、捕物劇の現場で見かけたセシリーが出迎えてくれた。そして彼の横には銀髪の長い髪をポニーテールにした美しい人がいた。

 この異世界は美形揃いらしい。


「待たせたね、セシリー、ユーリ」

「セシリーから聞きましたよ、フェリシア班長。なかなか面白い事になったようですね」

「これからが大変よ。クレールス教団の残党もいるだろうし、彼女の処遇は慎重に行わねば」


気づいたら三人の視線を一身に集めていた。三人の話を聞き流していた私は、突然のことで顔が赤くなってしまった。

 正統派お姫様のような美少女、中性的で可愛らしい少女、そして美人。揃いも揃って顔が良い人達に見つめられると居心地が悪い。

 ここはもう、視線を泳がせるしかない。


「服装以外は普通の女性に見えますけどね」

「ユーリ。彼女は異世界人だよ。無断してはいけないよ」

「そうだな。今のところは無害だが、異世界人は魔力が膨大だと聞く。ユーリ、彼女の魔力検査は頼んだ。私とセシリーは上に報告してくるから」

「わかりました」

「ではクロエさん、後のことはこのユーリに聞いて下さい」

「はい、わかりました」


フェリシアは忙しそうに連絡事項を伝えて、セシリーと共に城の中へと入っていった。そんなフェリシアをぼんやりと見送ると、ユーリが近寄ってきた。


「それでは私に付いてきて下さい」

「は、はい!」


愛想の良い笑顔を見せられ、思わず戸惑ってしまった。セシリーの時とは違い、ユーリと言う人は少し友好的に見える。けれど美人すぎて緊張してしまう。こんな美人に耐性のない私はギクシャクしながらユーリの後に続いた。


 大きな扉をくぐると、ユーリやフェリシアたちと同じような軍服を着た人たちが行き交っていた。

 城は石造りで、剣や兜は飾っていても、豪華な装飾などは全く無かった。想像よりもずっと殺風景だ。そんな考えが伝わったのか、ユーリが解説をしてくれた。


「ここは城といっても別棟で、魔法部隊の事務所のようなところなんです。軍人ばかりなので豪華な飾りもなく結構殺伐として見えると思います」

「魔法部隊?」


さっきフェリシアも同じことを言っていた。けれど結局何をするのか聞いていなかった。


「はい。国の安全保障のために働く組織です。魔獣討伐や魔法犯罪などの魔法に絡んだ事件を取り締まっています。魔法部隊は、こなした任務の難易度や数によって第一級から第三級までランク分けされています。第一級が一番上ですね。その第一級魔法部隊はセブン・ウィザーズと呼ばれています。ちなみに私とフェリシア班長、セシリーは第一級魔法部隊のガンマ班です」

「すごいんですね」

「それでも上には上がいますよ」


道ゆく人達はユーリを見て慌てて道を開け、頭を下げている。その様子を見ると充分ユーリ達がエリートだと分かる。

 フェリシアも魔法実力社会だと言っていた。セブン・ウィザーズとやらは相当な実力集団で、魔法使い達から一目置かれている存在なのだろう。

 レンガでできた廊下は正直冷たさも感じて萎縮してしまう。けれど、そんな廊下を堂々と歩くユーリを見ていて、結構凄い人なんだろうと肌で感じる。

 廊下を突き進んでいくと、ユーリはとある一室の前で歩みを止めた。


「さあこちらですよ」

「は、はい」


その部屋の中は、研究室のようであった。多くの書物が壁を埋め尽くし、机の上には不思議な液体や実験道具が置かれている。あまり掃除されていないのか、少し埃っぽい。


「フェリシア班長から伺っていると思いますが、魔法の検査させてもらいます」

「はい」


ユーリに促されるまま、私は丸椅子に座った。しかしどうにも落ち着かずキョロキョロと周囲を見渡してしまう。

 この部屋にはどうにも怪しげな道具が沢山ある。どの道具を使って、どんな検査をされるのか。恐怖しかない。



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