モノローグ
『考え物』。
だけど今どき、『考え物』なんて言われてもねえ。そんなもの、パソコンかスマートフォンで検索すれば、一発で『答え』なんて見つかるんじゃないの? 大体載ってるでしょう。
分かんないことあっても、AI使えば一発だし。この間ネットを見てたらね、まだ読んでないミステリーの犯人と、そのトリックがバーンと目に飛び込んで来ちゃってね。ありゃ参ったね。今じゃ『答え』があっちこっちで一人歩きしているような時代ですよ。
もうそれが当たり前になっちゃってるんだから。それなのに、『考えろ、考えろ』なんて言われても、ねぇ? これじゃあ『考え物』のやつも、今頃商売上がったりでしょうなあ。
『答え』が溢れているこの時代。まぁ、頭を悩ませることがない、何も考えなくて良い……ってのが、果たして幸せなことなのかどうかは、それこそ考え物ですがね。
皆様もご存知の通り、世の中には『なぞかけ』という遊びがあります。
『なぞかけ』と言うのはつまり、
何々とかけまして、
何々と解く。
その心は?
……と、こう言う形式のやつです。
こいつぁ『答え』だけ分かってても、どうしようもない。だってもう『答え』言っちゃってるんだもの。そうじゃなくて、『問題』と『答え』の、その間のつなぎ目の部分。『なぞかけ』を解くには言葉遊び、発想の飛躍みたいなものが必要になってくる。
一見関係のない、異質な”もの”と”もの”同士を結びつける。そのつなぎ目を考える力。
『答え』が溢れている今の時代には、必要な能力なのかも知れません……ね。
それじゃあ、見様見真似ではありますが。
次のおはなしの前に、ここらで私も皆様に『なぞかけ』を一つ。
『思い出』とかけまして、
『マラソンのゴールテープ』と解く。
その【心】は?