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プロローグ

 江戸時代。


 天下泰平の世には、今ではとても考えられないような、珍らし〜い商売が数多くありまして……。


 例えば、『親孝行』。


 これがどんな商売かってえと、

『親孝行』は、歳をとった親を背負い、「親孝行でござ〜い」と掛け声を上げながら街を歩き回る。するとそれを見た人々は、「感心、感心。感動的だねえ」と銭を投げるってぇいう、まぁ実に珍妙な商売でございます。


 しかしこの『親孝行』、背負っているのは実の親でも何でもなく、本当はただの人形だったってんですから。それが本当なら、どこが感心なんだって話になっちまいますがね。


 他にも、『御利生(ごりしょう)』。


「葛西金町半田の稲荷、御利生御利生大きな御利生、素敵な御利生」


なぁんて口上を唱えながら、お手製の鳥居から狐の首を伸び縮みさせるっていう、

ま、いわゆる大道芸の一種ですわな。


 この『御利生』ってえのは、実は、とある隠語になってまして……鵜の目鷹の目の今の時代、人前じゃあ、とても私の口からは説明できません。いやぁ、くわばらくわばら。


 まだありますよ。『考え物』。

 

 『考え物』。


 こいつぁ今でいう、『なぞなぞ屋さん』です。

 みなさん好きでしょう? クイズとか、パズルとか。暇潰しにはもってこいですもんね。『考え物』はだけど、元々は願人坊主(僧形の物乞い)でして、暇そうな家を見つけちゃあ、無理やりなぞなぞの書かれた紙を投げ込んでくる。今じゃ押し売りですよ。本当に、はた迷惑な奴ですなあ。


 しかしそれを見た家の主人は、「何だこりゃ?」ってんで、どうしても気になってなぞなぞを考えちまう。そうなれば『考え物』がふらりとやってきてですね、「答えが知りたい?」とこうくる訳です。いや本当に、はた迷惑な商売があったもんですなあ。


 今回はそんな、『考え物』のおはなしでございます。では、はじまり〜はじまり〜。

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