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18話【直往】

18話【直往】



 鈴木は強引に腕を僕の肩に乗っけて逃げれないようにしてきた。



「何か、用なの?」


 自分でも怖くなるくらいの低い声がでた。目の端で回りを見ると、いつもは腰巾着こしぎんちゃくのようにくっついている三田みた足立あだちがいない。


 あの二人がいないことで僕は少し強気になって、


「用がないなら離してよ!」


 少し強く言ってむりやり鈴木の手を払いのけた。


「おっと」


 鈴木は僕から少し距離を置くとニヤニヤと馬鹿にしたような笑いを浮かべて、


「相変わらずじゃん。最近、龍治と一緒だから強気にでもなったのかよ〜」


「ー…っ、そんな事……」


 鈴木に言われて僕は口篭ってしまう。確かに僕は最近りゅうちゃんと一緒にいて自分も少し強くなった気がしてた。


 りゅうちゃんがいるから。


 りゅうちゃんと一緒だから。


 そんな簡単な感情で僕もりゅうちゃんみたいに強くなった気でいた。



 でもそれは違う。


 りゅうちゃんは元々気が強いところがあったけど、僕はずっと弱虫なままだ。暴力は嫌いだし、言い合いも大嫌い。


 でもりゅうちゃんといる時だけ本当の自分になれる気がして、りゅうちゃんの隣にいるのはすごく居心地が良かった。


 りゅうちゃんのこと、恋愛として好きだけれど、それ以外でも僕はりゅうちゃんが大好きだった。


 自分でもちょっとよく分からない感情だけど、やっぱり僕はりゅうちゃんがいなきゃダメみたいで。



 今だって、鈴木を目の前に顔は平気そうなフリをしてるけど心臓はキュッと締め付けられているみたいに苦しいし、何をされるか分からなくてドキドキもしてる。早く鈴木が何もなく立ち去ってほしい。そればっかりが頭の中を駆け巡っている。



「……よ、用がないなら僕は帰るけど」


 平気な感じを装って鈴木の顔を見ないように視線を下に向けた。



「……用はあるんだよ」


「え?」


 鈴木の声に僕は顔をあげる。横目でちらりと鈴木を見るとすごく真剣な顔つきで僕を見てた。



「なん…か、あったの?」


 鈴木のあまりにも真剣な様子に僕は心配になった。このあとの起こることも知らずに――


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