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17話【直往】

17話【直往】



「……りゅうちゃんいないのに先に食べられないでしょ」


 先に食べてればと言われたけど、りゅうちゃんがいないのに食べるのはなんか悪いなぁって思ってたから少し口を尖らしてそう言うと、りゅうちゃんと目が合ってすぐに避けるようにそらされた。


「どうしたの? りゅうちゃん」


 目をぱちぱちさせて首を傾げて覗きこむように顔を見れば、



「な、何でもない!」


 少し慌てたようにぶんぶんと首を横に振るりゅうちゃん。



「変なりゅうちゃん」


 そう言って、僕も差し出されたクッキーを口に運ぶ。そのあとで少し冷めてしまった紅茶を一口。あまり紅茶に詳しくはないけど、りゅうちゃんと一緒だからおいしいには変わりないよね。



 りゅうちゃんの家に来た時はあまりにも場違いな感じがしてちょっと緊張とか申し訳なさとかいっぱいいっぱいだったんだけど、りゅうちゃんと二人でこうやってお菓子を食べるのは小学生の頃に戻ったみたいで僕も徐々に慣れてきたみたい。






 ――それから学校が一日になるまでの三日間はりゅうちゃんが朝も帰りも一緒だったから、鈴木たちに絡まれることはなかった。




「それじゃあ。僕、委員会あるからりゅうちゃん先帰ってていいよ〜」


 一日授業になると同じクラスとはいえ、僕は委員会活動があってりゅうちゃんは部活も入っていないから帰る時間がズレてしまう。


「ん〜分かったぁ」


 僕が教室から移動するなか後ろをついてくるりゅうちゃんに振り返ってそう言えば、りゅうちゃんは少し残念そうに(僕が見た感じでは)頷いて、



「じゃあまた後でな〜」


 僕を横切って玄関まで歩いて行くりゅうちゃん。


「じゃあまた」


 僕はりゅうちゃんの背中に軽く手を振って姿が見えなくなるまで見送った。




 委員会を三十分ほどで終えて教室で帰り支度をしている時、



「よう。直往なおゆき〜」


 背後にかかる一番聞きたくなかった声。僕はその声の主に嫌そうな顔をして振り返る。



「ー…何?」


 振り返った先には予想していた通りの嫌なやつの顔――鈴木の姿がそこにあった。


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