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15話【直往】

15話【直往】



 りゅうちゃんの自室は僕が想像していたのとだいぶ違った。おもちゃとかゲームとかいっぱい置いてあるのかなぁとか思ってたんだけど、すごくすっきりしていて余計なものがない。



「俺着替えてくるからその辺座ってて〜」


 言いながら、りゅうちゃんはラグ(敷物)が敷かれた大きなソファを指差す。ソファは両側にあってそれを挟んでローテーブルまであった。


「あ、うん。分かった」


 僕は戸惑いつつ持ってきた荷物をソファの横に置き静かに座った。



「多分メイドが茶菓子持ってくるだろうから適当に食べてろよ〜」


 間延びしたようにりゅうちゃんはそう言って奥にある扉に入っていく。



 急に静かになって落ち着かなくなったからりゅうちゃんの部屋を少しだけ見渡してみた。


 部屋の真ん中あたりに僕が座っているソファがあって、入り口から向かって左奥にりゅうちゃんがさっき入って行ったもう一つの部屋があるみたい。

 それよりも気になったのは、部屋の右側にあるスポーツ器具だった。どこかのジムにあるようなランニングマシーンとかダンベルとか色々あって、りゅうちゃん身体鍛えているのかなとか思っちゃった。


 そういえばしばらく見ないうちにちょっとだけりゅうちゃんの身体つきが良くなった気がする。



 そんな事をぼんやり考えていたら、扉がノックされて少しかしこまったように綺麗なメイドさんがお盆に何かを乗せて入ってきた。


 僕がびっくりして目をパチクリとさせていると、


「いらっしゃいませ、直往なおゆき様。お紅茶とクッキーでございます」


 そう言って、ローテーブルにそっと紅茶と上品なお皿に入ったクッキーを置いてくれた。



「あ、ありがとうございます……」


 僕が頭を下げてお礼を言うとメイドさんは爽やかな笑顔と共に、『いいえ。ごゆっくりとおくつろぎなさいませ』と言って僕に一礼して部屋を出て行ってしまう。



「はぁ〜…」


 なぜか緊張していた僕は気を抜いて大きなため息をはいた。



 でも。


 こうやってみると、やっぱりりゅうちゃんは僕と住む世界が違うんだなぁって再認識させられて急に不安になって心が沈んでしまう。

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