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14話【直往】

14話【直往】



「お前なにそれ、変な言葉」


 りゅうちゃんが僕の隣でお腹を抱えて笑っている。



「だって……」


 そんなりゅうちゃんに少し腹が立った僕はムッと口を尖らせて俯いた。


 そんなの仕方ないじゃないか。あまり面識のない人、(でも小学校のころは倉田さんがりゅうちゃんをよく迎えにきてたっけ)に名前呼ばれたらびっくりしちゃうよ。



 門からりゅうちゃんの敷地内を通って玄関みたいな大きな扉が開けられる。


 中に入ると玄関ポーチがあって中央には左右に分かれる大きな階段。そこを登って右側の奥がりゅうちゃんの自室になっているみたい。


 僕は映画でよく見るメイドさんたちが並んで、『おかえりなさいませご主人様』とかあるのかなって想像してたんだけどそんな事はなかった。



 思っていたのと違っていたけど、やっぱり僕とりゅうちゃんは住む世界が違うんだなぁって、まじまじと見せつけられた感じがして僕の心は少しだけ息苦しくなり俯いてしまう。



「……想像と違ってた?」


「え?」


 突然聞こえた声に反応して顔をあげれば、ちょっとだけ悲しそうに笑っているりゅうちゃん。その表情を見た僕はさらに胸が締め付けられて、


「ううん。ちょっとだけびっくりしてた」



 慌てないよう不自然にならないように小さく首を横に振って大部分は本音を言う。『住む世界が違う』も本当のことだけど、昔からりゅうちゃんは勘が鋭いから、自分の本音を先に言ってしまえばだいたいはそれで納得してくれるから本心だけは言わないようにしてる。



 住む世界が違うなんて、りゅうちゃんと親友になる前から分かりきっていたこと。それをただ今日本当に現実を見せられただけだ。


 だから――この先もこのままりゅうちゃんとの関係は崩したくない。りゅうちゃんのこと好きだけど、その想いがバレて嫌われるくらいなら想いを知られず親友という言葉でずっと繋がっていたほうがまだいい。



「そっか」


 りゅうちゃんは軽く頷いてくれた。


 

 これでいいんだ。りゅうちゃんに嫌われて側にいられなくなるなら友として一緒にいたほうがいいから。この関係を壊したくはないから。


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