10話【龍治】
10話【龍治】
ーー何か、久しぶりに会った直の態度がよそよそしく感じるのは俺の気のせいだろうか。
もしかして黙って学校行かなくなった事を怒っているのかなとも思った。けど、会った時に笑顔を見せてくれたから怒ってはないはず。でもそれは多分、俺の言い訳だろう。
何にせよ、急に学校来なくなったら誰でも心配するよな。
直もやっぱり心配してたんだろうか?
そんな風に思うのは俺の自惚れだろうか?
(…一応、謝っておいたほうがいいか…)
そう思ったのは、久しぶりに会ったにも関わらず、あの頃とは違って直と俺の間に【見えない】壁があるのを感じたから。
「…あの、さ……」
直の顔が直視出来なくて俺がまっすぐ前を見たまま小さく口を開くと、
「うん? どうしたの、りゅうちゃん」
と、笑顔でこちらを見てくれる直。そんな直に少し甘えつつ、
「あの…急に学校行かなくなって……」
「ああうん。どうして?」
直も同じ事考えてたみたいで続きを促してくる。
「…あ〜と…実はちょっと色々あって……」
「うん」
何とも情けない言い訳みたいにしどろもどろとしている俺に直は我慢強く続きを待っていてくれる。
「俺、本当はおま……」
そこまで言いかけて俺は固まった。ついでに歩を進めていた足も止まった。
ーーちょっと待て! 俺今何言おうとしたッ?!
「りゅうちゃんどうしたの?」
急に立ち止まった俺から数歩行き過ぎた直も立ち止まり俺を振り返る。
「…あ、う…悪い、何でもない…」
(あぶねぇあぶねぇ。俺何言おうとしてんだよ!)
慌てて首を振る俺。直が訝しく俺を見てきてーー
「…りゅうちゃん体調でも悪いの…?」
「いやッ大丈夫!」
俺の前まで移動してきて心配そうに顔を覗き込んでくる直から顔をそらすように横に向ける。




