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雪解けなんて待てなくて

作者: 珀煉

雲宮 詔 くもみや みこと 性別 男 種族 人間 あまり人とつるまない性格 年 齢18歳(大学生) 山に登り吹雪に見舞われ遭難する


フユキ 性別 女 種族 雪女 人懐っこい性格 年齢は人間換算で15~16歳程度 詔が遭難した山に住んでいて小屋に明かりがついていたため小屋に入り詔とあう まだ若 いため冷気のコントロールができない

俺は今、山に登っている。それは何故か、ただ単にこの山の頂上からの景色が気になったからだ。最初は景色を楽しんで登っていたのだが、中腹だという看板が見えた辺りで雪が降ってきた。

「雲の感じ的に吹雪になりそうだな、折り返すか」

そう言って、俺は、今来た道を折り返し下山していった。だが途中で猛吹雪になり、道を見失った。感覚だけを頼りに下へ下へと降りていったつもりだったのだが、元々の道とはかけ離れたところに出た。

「あれは……」

と、俺が見た先に薄く見えたのは、

「やっぱり山小屋か」

中に人の様子は無い、悪いとは思うが、無断で泊まらせて貰うことにした。一応、連絡しようと携帯を確認したが、圏外だった。携帯をポケットに仕舞い持ってきた食料を食べ吹雪が止むのを待とう、そう思った矢先、コンコンと山小屋の戸を叩く音が聞こえた。少し疑いながらも俺は一言尋ねた。

「どうしました?」

「この吹雪で迷ったんだ」

小さい子の声でそう言われ俺は戸を開けた。そこにはこの雪の中、山に登っていたとは思えないほど薄着の小学生くらいの子がいた。

「この薄着で今までどうしてたんだ」

「いやちょっと山登ろうとしたら吹雪いてきちゃって、あっそうだお兄さん名前は?」

雲宮詔(くもみやみこと)だ。君は?」

「ボクはフユキだよ。よろしくね」

ニコッとフユキと名乗る小さな女の子は微笑んだ。その顔を見て俺はドキッとしてしまった。なんなのだろうかこの胸の高鳴りは、

「あ、あぁよろしく外寒かっただろ、これでも使ってくれ」

と、少しドギマギしながらカイロを渡す。

「い、いやボクはいいよ」

「そんな寒そうな格好をしていて何がいいよだ、俺の分はまだあるから使ってくれよ」

「じゃ、じゃあ遠慮なく」

フユキはおずおずと俺からカイロを受け取った。その時、ガキンッと大きな音をたててカイロが凍った。

「あっ……ああっ……」

俺以上にフユキは怯えていた。まるで母親に怒られる前の子供のように。

「やっぱりフユキ、お前は、雪女だったんだな」

「まだ雪ん子だけどね、お兄さんいつから分かってたの」

「最初からさこんな猛吹雪の中雪が全くのってない状態であんな薄着で動けるわけないからなそれにあんまり寒そうにしてなかったし」

そう告げるとフユキは悲しそうな顔をしていた。

「そっか……バレてたのか……じゃあなんでお兄さんはボクに親切にしてくれようとしてたの?」

「雪女だろうが雪ん子だろうが困ってるなら助けるだろ」

「お兄さん優しいね……だからこんなことになるんだよ」

ふわっと、フユキが動き俺に抱きついてきた。その時、体の芯から凍るような寒気がした。

「フユキ、なにを……」

「ごめんね、お兄さん」

そのフユキの一言を聞きながら、俺の意識は暗闇へと落ちていった。目が覚めると、吹雪は止み朝になっていた。そこにフユキの姿はなかった。起き上がり帰ろうとすると、ガサッと紙が落ちた。そこには涙かなにかの塗れた跡と共に、

『冷気をコントロールできるようになったら、また会おうね』

と、書かれていた。

「会う気でいるのかよあいつ」

思わず笑みがこぼれた。

「とりあえず荷物まとめて下山するか」

俺は持ってきた荷物をまとめ山を降りていった。その時、後ろに、フユキの気配がしたのは気のせいだったのかもしれない。

そんな不思議な体験をした山を降りて数週間が経ったある日、家で1人ゆっくりしているとインターホンのなる音が聞こえた

「はい」

と言ってドアを開けるとそこには1人の見た目中学生くらいの女の子がいた。

「どちら様でしょうか」

そういうと女の子がムスッとした顔をしながら雪のような白い髪をなびかせ抱きついてきた。

「これでわかる?お兄さん」

「お前フユキか?」

「そうだよ!やっとわかったの!?」

早くねぇか?まだ1年も経ってないぞ

「いや……もうちょい遅くなると思ってたし、ほんとに会いに来ると思ってなかったから」

「お兄さんに会いたくてボク頑張ったんだよ!」

「そうかよ、んでどこに住むんだ?」

「お兄さんのとこ!」

馬鹿なことを言ってたので外に追い出してドアを閉める

「ちょっと!?お兄さん!?」

「お前が馬鹿なことを言うから悪いんだろ家に帰れ」

「ボクここで叫ぶよ」

「!?」

急いでドアを開けフユキを家の中に入れる

「わかったよここで暮らせ」

「やったーお兄さん大好き!」

「へいへいありがとさん」

適当にながすとフユキは会った時のように頬を膨らませていた

「本気なんだけど」

「子供の告白なんて真剣に受け取らねぇよ」

そう自分で言ったはずなのに胸がチクリと痛んだ。

「お兄さんなんて知らない!」

フユキはムスッとしながら部屋の中へと入っていった。

「お…おいフユキ!」

フユキを追って、部屋の中へ向かうとフユキはベットの下を漁っていた

「何やってんだお前」

「ベットの下にHな本隠してるってなんかの本で読んだから探してる」

誰だそんな本こいつに読ませたの

「ねーから離れろ、じゃねぇと追いだすぞ」

「すみませんでした」

そんなことを言うとフユキはピシッとテーブルのとこに正座をした。

「というかほんとに住むのか?」

「うん!」

その元気な声と同時にフユキの腹がグ〜と鳴った。

「何か食べるか?」

「うーんお兄さんの料理ならなんでもいいよ!」

「パスタにでもするか フユキ雪ん子は熱いのって食べれるのか?」

「ボクはあんまり得意じゃないけど食べれるよ」

「得意じゃないなら冷製パスタにするか」

ちゃっちゃとパスタを作り、流石に冷製パスタだけを食べるのも体が冷えるので俺用のスープも用意し、2人でテーブルについた

「「いただきます」」

作った冷製パスタを食べる、うん、美味い。

「おいしーい!」

とフユキが大きな声をあげる、そんな美味かったのか?

「美味いか?」

「うん!超おいしい!」

「それなら良かった、そうだこの後出かけるぞ」

「もぐもぐなんで?もぐもぐ」

喋るのか食べるのかどっちかにしろよと思ったがまぁいい

「お前の服と連絡用の携帯契約しに行こうと思ってな」

「!」

口をもぐもぐさせながらフユキはその綺麗な青色の目を輝かせていた。

そう行ってる間に俺はパスタを食べ終えたので洗い物をする、フユキはまだ食べているようだ。

「フユキ食べ終わったら皿持ってきてくれよ」

「もぐもぐうん!もぐもぐ」

そうしている間に洗い物も終わったので出かける準備をし、フユキを待った。その数分後フユキも食べ終わり2人で外に出た。

「ってか今更だけど日光大丈夫なのか?俺の知ってる雪女って日に当たるとダメだった気がするんだけど」

「今日は寒いし大丈夫だよ夏はちょっと辛いけど」

「そうなのか、っと着いたぞ」

最寄りのショッピングモールに着いた。

「携帯契約しに行くか、俺のと同じでいいな多分」

「ボクは分からないしそれでいいよ」

ケータイショップに入り、俺の携帯の二台目ということで契約をしたため、フユキの素性がバレることもなかった。次に女性物の下着などがある所に行った。

「フユキ会計の時に呼んでくれ、店員に聞けば色々おすすめしてくれるから」

「え?お兄さんは入らないの?」

「男ってのはこういうとこ入り辛いんだよ」

「関係ないじゃん入ろ!」

「お、おいフユキ!」

フユキに手を引かれて俺は店の中に入っていった。

「どんなのがいいかなぁ」

他の客からの視線が凄い痛い、早く選んでくれ……

「いっぱい買っていいぞ金はあるし」

「ほんと!?ありがと!」

何着か服を買い帰宅をした。

「ふんふーん」

フユキはとても嬉しそうにしていた。まぁフユキが喜んでるならそれでいいか。

「そうだフユキこれ渡しとく」

と言いあるものを渡す。

「これなに?」

「ここの家の鍵、俺がいない間に自由にどこか行ったりできるようにな」

「なるほど、ありがと!」

フユキの笑顔にドキッとした。偶に思うこの気持ちはなんなのだろうか…そう思いつつフユキと帰路を辿った。その夜、俺はある人物にメッセージを飛ばした。

次の日、その人物は俺より先に待ち合わせ場所にいた。

「詔、急に聞きたいことがあるって、メッセージじゃだめだったの?」

「悪いな伊織、直接会って聞きたくて」

伊織(いおり)は俺の親友だ。昨日の夜俺は最近の胸の痛みなどの正体を知るために伊織にれ連絡した。

「実は……」

俺は伊織にフユキの行動に胸が痛くなったりドキドキすることを伝えた。

「それって恋じゃない?」

「恋!?」

「俺はフユキちゃんのことはよく知らない、でも、詔はその子を見ててドキドキしたり胸が痛くなるんでしょ?そんなの恋だよ」

「そう…か…」

恋、そう言われてすっと腑に落ちた。

「やっと自分の気持ちに気づいたんだね」

伊織がそう言う。

「詔、気づいたついでに覚悟決めなよ」

「おう悪ぃなこんなんで呼び出して」

「詔の頼みなら聞くよ親友だし」

「サンキューな」

走って帰路を辿る。そして家のドアを開けた。

「はぁ…はぁ…」

「お兄さん!?どうしたのそんな急いで帰ってきて」

フユキに心配されつつも俺は息を整え、ずっと心の中で燻っていた思いをフユキに告げる

「フユキ、俺の彼女になってくれ。」

「!」

「俺は本気だ。俺が先に死ぬとしても死ぬまでお前を愛す」

「ほんとに、いいの?雪女だよ?」

フユキが泣きそうになりながら俺に告げる

「いいんだ、俺はフユキ、お前が好きなんだ」

と言ってフユキにキスをする。

「フユキ、返事を聞かせてくれ」

「わかってるくせに」

「それでも聞きたいんだ」

「不束者の雪女だけどよろしく!お兄さん」

「もうお兄さんじゃなくて詔って呼んでくれよ」

「わかった、改めてよろしくね詔」

「おう、よろしくなフユキ」

そして俺たちはまたキスをした。


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