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なろうラジオ大賞参加作品

ランドセルを背負った息子が、おかあさんをまもると言った

作者: 田尾風香
掲載日:2022/12/01

タイトル浮かばず、長くなりました。

「夏祭りに行く前に」の続き?にもなっていますが、これ単体で読めます。自作品のスピンオフ、のさらにIFストーリーです。

「えへへー」


 来年小学校に入学する息子が、まだまだ大きいランドセルを背負って、嬉しそうに笑った。何かを期待するような視線が母親の凪沙に向かう。


「立派になったね、暁斗。もう小学生かぁ」


 笑顔で凪沙は暁斗の頭をなで、暁斗はご満悦だ。その様子を見ながら、父親である泰基は内心でツッコんでいた。入学は来年だろ、と。


「あのね、おとうさんがいったの。しょうがくせいになったら、けんどうやっていいって」


 暁斗の発言に、泰基は僅かに眉をひそめる。

 確かに言った。泰基が先生をしている剣道を、やりたいと言った暁斗に「小学生になったらな」と言った。

 だが、それが何だというのか。


「そしたらね、オレつよくなるんだ! おとうさんよりつよくなって、おかあさんのこと、まもってあげるね!」


 聞いていた泰基は吹きそうになったが、凪沙は違うようだ。感動した顔つきで、暁斗を抱きしめた。


「んもー、かわいいっ! ありがとね、暁斗。頼りにしてるからね」

「ちがうっ、かわいいじゃなくて、かっこいいの!」


 自分を格好いいと言うなと、ツッコみたい泰基を余所に、凪沙は暁斗を抱きしめたままだ。


「うんそうだね、暁斗は格好いいもんね」

「そうだよ。えへへー」


 母親が素直に言い直したことで満足したようで、暁斗は嬉しそうに笑う。だが、泰基に向けてきた表情は一変、何かを挑むような顔をしていた。


 その視線をサラリと受け流した泰基だが、暁斗が重そうにランドセルを手で支えていることに気付き、容赦なく引き離す。


「ええー、なんで!?」


 不満げな凪沙の声を聞き流して、暁斗に声を掛けた。


「ランドセルを下ろせ。重いんだろ」

「……だ、だいじょうぶ、だもん」


 そう答えるものの、強がっていることは丸分かりだ。そしてそれを、凪沙が気付かないわけもない。


「あ、そうだね。まだ暁斗ちっちゃいもんね。ごめんね、気が付かなくて」


 慌ててランドセルに手をかけて下ろそうとする凪沙の手を、暁斗は拒まない。けれど、唇を尖らせて不満そうな顔をしていることに、泰基だけが気付いていた。


(ちっちゃいって言われちゃったもんな)


 そもそも、空のランドセルを重く感じているうちは、まだまだだ。

 上手く妻を使って仕返しできたことに、泰基は内心で笑う。自分に挑むなど十年早い、と思いながら。


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― 新着の感想 ―
[良い点] かわいい! こんな息子がいたらママはメロメロですね。我が家のリアル息子たちにも爪の垢を煎じて飲ませたいです。 でもパパよ。幼児と真剣に張り合っているあたり、追いつかれるのはあっというまかも…
[一言] 暁斗くん頑張れ!
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