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後編〜エープリルフールだからって、容易に嘘つくのはやめた方がいい〜

 スマホから流れてくる音声。



『勝手に決めつけないでくれるかな?! 詩音(しおん)といると楽しいなって思ってただけだぞ!』




  俺の声だった。



「……ね? 先輩? 私と一緒にいるの疲れたなんて嘘ですよねー?」


  前言撤回、やっぱ可愛くない。いや、やっぱり可愛いわ……。


「ぐっ……ばれちゃしょうがねぇな! 滅茶苦茶楽しいぜ! こんな可愛い美少女が幼馴染なんて最高だ!」



  もう殆どやけくそで言ったが、これはどうだ!

  しかも、本心だから恥ずかしい……!






  詩音が珍しくいじって来ないのでゆっくりと顔を覗き込むと、詩音は耳まで真っ赤に染まっていた。




  え? なにその反応……。怒ってるの? それとも照れてるの……?





「っ〜〜! ひ、緋露(ひろ)っ! 不意打ちは反則ですよ!」



  そう言って詩音は、ポカポカと俺の胸を叩いてきた。





  え、何この可愛い生物……。





  ちょっとイジメ過ぎたか?






  しばらくその状態が続き、詩音が疲れて叩くのを辞めたかと思うと「耳かして」と呟いた。


 


  俺は、罪悪感から腰を曲げて耳を詩音の方に傾ける。

  詩音の呼吸音がとても大きく聞こえてドキリとした。








「――緋露、大好き」


「……っ〜?!」





  詩音の吐息がくすぐったくて、詩音が言った言葉に驚いて、俺は勢いよく詩音から離れて耳を抑える。




 

  俺の耳に届いたのは、まるで猫に語りかけるような優しくて愛嬌があって、妙に色気のある囁きだった。




  生意気な後輩キャラはどこえやら、幼馴染としての詩音の口調だった。





  どゆこと……? え? 何を言われた?『緋露大好き』?







  俺は詩音の言葉に混乱して頭がごちゃごちゃしていた。






「……え? …………ん? どゆこと? 詩音さん?」



「っ〜〜! それぐらい、自分で考えてよね! 緋露のバカー!!」






  意味がわからなくて詩音に訊くと、詩音は叫びながらダッシュで走って帰って行った。







  1人ぽつんと取り残された俺は、呆然と立ち尽くしていた。








「え? なんで俺今怒られたの……?」






  俺はモヤモヤとした気持ちのまま帰路に着いた。








  家に帰ってから色々と考えてみたが、詩音は俺の事が本当に好きっぽい気がする。





  エープリルフールのせいで、本当なのかただのからかいで言ったことなのかややこしかったが、俺もそこまで鈍感じゃない。





  思い返せば、詩音が照れ隠しする事が多かった気がする。



  ネットの質問掲示板とかで『これ、脈アリですか?』と聞けば100パーセント『脈アリですのでとりあえず、リア充爆発しろ』とか返ってきそう。






  俺は、自分の気持ちを告白する決意を決めて数日後詩音に告白した。


  返事は『もっと正直で素直な人になってからじゃないと付き合いません!』と理不尽に断られた。




  俺の人生初告白は、見事に振られた。


  いや、見事にか? まだチャンスはあるか……。







 それから俺は、正直で素直な人になると決意して日々を過ごすようになって行った。







  エープリルフールだからって、容易に嘘つくもんじゃねぇな……。



  これだけは言える。

  恋愛関係の嘘は絶対にやめといた方がいい。


  自分も傷付くかもしれないし、相手も傷付く可能性の方が高いと思うからな。


 

エープリルフールのルールが午前中までとかは国ごとの風習によって違うかもしれないので、そこはご了承ください。


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[一言] >エープリルフールのルールが午前中までとかは国ごとの風習によって違うかもしれないので、そこはご了承ください。 ハーイ(*>∇<)ノ もう2人の恋が可愛すぎて///穢れた私には眩しく見えま…
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