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帝王は、2度目の死を迎える

「おい兄貴!いつまでチンタラやってんね…「うっさいわボケ!!こっちかて真面目にやっとんねん!気ぃ散らすなアホ!!」…悪い。言い過ぎたわ」


刻一刻と過ぎていく時間に3人の神経は擦り減っていく。

俺は静かに自分にかけられる全てのバフを重ね掛けしている。

転移した瞬間に煉獄王を殺す為だ。


「…こうか?いやちゃう…こっちか!ほんでからこれをこうして…いけた!!!

転移すんで!」







まず目に入ったのは大人の姿をした煉獄王。反射的に飛び出し剣を抜く。その過程で見えたものは全滅した敵軍。多少の負傷者はいるが殆ど無傷の帝国軍。城の結界が破られ右側が半壊している帝王城。そして…別々になった刀神の胴と頭。


「よくも…よくも刀神を!!!」


俺は感情を抑えきれず声を張り上げる。


「クフフフ、来たかカルワ。待ちわびたぞ?」


「死ね‼‼‼」


言葉のままに一閃。しかし、煉獄王は避けもせず立ったままだった。スルリと剣は首をすり抜ける。まるでそこに煉獄王など存在しないかの様に。しかし、手応えの無さに体勢を崩したカルワの腹には、鋭く重い拳が炸裂する。


肺の中の空気が一瞬にして外界に吐き出される。だが、義兄さんほどじゃない!


「一撃で体破裂させられなかったくらいで喜んでんじゃねーよ。ただ手加減してやったんだよ。

お前の蘇生回数を減らさないようにな」


…全一様との会話を知っている?…いや、何も不思議ではないか。こいつは全一の命令で…


そう考えた瞬間、俺の腹から円状に体が消えていく。最後に聞こえた言葉は......


「何全一様を呼び捨てにしてんだ?」










「あと1回だぞ?あと、俺のことを呼び捨てにした事はガリウスが下した罰で我慢してやろう。

因みにお前の敵はガリウスじゃねえぞ?アイツはお前には絶対に殺せないから諦めろ。

…もう一つ良い事を思い出させてやろう。暗黒神の見えざる布切れ」


















「…蘇ったか。これで計画の2つ目も完了。全ては全一様の思し召しのままに......」


そう言って煉獄王は姿を消した。今回は死んだその時に蘇った様だ。

俺は刀神の喪に服す間もなくイブの元に転移した。そこには咲宵以外の妃達が全員揃っていて幸いにも誰も傷を負っていなかった。俺は安堵の息を放つ。


「よかった、みんな無事で…

これから俺は聖精神王国に殴り込む。咲宵と一緒にここにいてく「絶対に嫌!!!」


俺の言葉を遮ってイブが言葉をはさむ。


「今回だってすっごく嫌だった!旦那様が死ぬかもしれないのに私達は近くに居る事すら出来ないの!?死んでも付いて行くから!!」


周りを見ると皆そう思っている様だった。だが…死の危険があるような場所に妃達を連れていく訳にはいかない。俺は心を鬼にして冷たい言葉を投げかける。


「駄目に決まっているだろう。それに付いて来られても足手まといだ。話はこれで終わりだ」


「終わってないわ。旦那様は本心でそんな事を言わない。私たちの為を想って言ってくれたんでしょう?…でもね、旦那様がそうやって私達を想う様に、私達も旦那様の事を想っているのよ?自分だけで背負わないで、私達は夫婦なんだから」


俺は悩んだ。悩んで悩んで悩んだ末に…


「......分かった。一緒に行こう」


と言った。



















俺はこの言葉を一生後悔し続ける事となる。

ブクマ貰えたので明日も更新します!

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