帝王は、イブと水族館に赴く Part2
「ん!旦那様、このおにぎりって美味しいわね!」
「あぁ、確かに美味い。程よい塩気と少し硬めの米が食欲をそそるな」
「それに走りながら食べられるのも良いわ!急いでいる私達にはピッタリ!」
「だな。本当にあの女将さんには頭が上がらないよ」
そうして走り続ける事10分弱。物を食べていたせいもあってか、脇腹の痛みが思考の半分を占めだしたくらいに水族館が見えた。
「イテテ…やっと着いたな」
「本当に…転移を使わないって不便ね」
係員に入場料を払おうとしたが、ここでも断られタダで入場してしまった。イブはサインを求められていた。どうやら娘さんがイブのファンだと言うのだ。
「…人気者だな」
「みたいね。私はアイドルって訳じゃ無いのに」
「それだけイブが魅力的なんだよ」
「……それ、ケシャナにも言ったりした?」
少し目をつり上げ、そう聞かれる。当然答えはNOだ。
「いや、言ってないよ。ケシャナは魅力的と言うか…もう少し小動物的だからね」
「…そっ!なら良かった」
笑みを噛み殺しながらイブはそう言った。控え目に言って、卒倒するかと思いました。
「にしても…魚はどこに居るんだ?」
「フフフ、もう少しよ。
楽しみにしておいてね」
しばらく道なりに進んでいくと、また別の係員がいて、客にスーツの様な物を配っていた。客はそれを身につけると水の中に飛び込んで行った。
これは…アマノラクションの水中で歩くのと似たような感じか?と思っていると俺たちの番が回ってきた。因みにこの道は薄暗く周りの客には気付かれていない。
「お待たせしました!…って、帝王陛下とイブ殿下!?こ、ここ、これはこれは、ええと…お日柄も良く……あ、あれ?違うかったっけ…え、えと……」
「…そんなに緊張しなくても大丈夫だ。
普段通りにしてくれ」
「は、はいぃ…ありがとうございます。
…ゴホン、これは魔道具でして、魚たちに気付かれ無い様になり、尚且つ呼吸も出来る様になると言う物です。これを装着していただいて、魚たちの自然な生活を楽しんでもらう。と言うのが当施設のコンセプトとなっております」
へぇ、アマノラクションとはまた違った感じだな。それに魚たちの自然な生活か…興味あるな。
係員に手伝ってもらい魔道具を装着した俺たちは、勢い良く水中に飛び込んだ。目を開けると、色とりどりの魚たちが苔や藻を食べていたり、その魚達を食べる大きな魚がいたりと、水中の生態系が一目瞭然だった。
今気がついたが、このスーツは顔は覆っていないが、目を守ってくれている様だ。それに、水中でよく見える様に暗視の効果もある。
「これは凄いな!」
なんかこの言葉昨日も言った様な気がするな。って、水中で言葉は聞こえるのか?
「本当にね!来てよかったでしょう?」
聞こえるな。地上と同じ様に聞こえるって…魔道具は優秀だな。
俺はイブの手を取り、雄大な水中の生態系を探検しに泳ぎ始めた。
100話でブクマ100件を目指しています!
このままだと結構厳し目なのでよろしくお願いします‼︎
ついでに評価もして頂けると幸いです‼︎





