帝王は、妃達に翻弄される
「旦那様!私、水族館に行きたいの!」
「何言ってるんですか?
カルワ君は私と遊園地に行くんですよ!」
「……まぁ、時間はあるからどっちも行けるけど」
「「どっちを先に行くの!?」」
…何で怒られてるんだろ……
俺がたてたデートプランでも無いはずなんだけど…
「じゃあ、平和的にジャンケンで。
イブは幸運使うの禁止で」
と言うと、何故か2人は目をつり上げお互いを睨み合う。なんか寒気が…
「ケシャナ、先に宣言しておくわ。
私はこの勝負、グーを出すわ」
「フッ、何ですかそれは?牽制のつもりですか?お生憎様、その程度で揺らぐ私では有りません。ですが…そうですね、幸運を封じられた哀れなイブさんに敬意を払って、私も宣言しましょうか…勿論パーを出します」
ハァ…平和的にって言ったのになぁ。仲が悪い訳じゃ無いんだけど…俺の時だけこんなんなっちゃうんだよな。…ま、そんだけ愛されてると言う事にしておくか。
「「ジャンケン…ポン‼︎」」
2人が出した手は…共にチョキだった。
どっちも嘘じゃん…
「チッ…ケシャナは素直だからそのままパーを出すと見越したが…甘かったわね」
「そちらこそ、三周は頭を回してくれると思ったのですが…思っていたより考えなかったようですね」
ここ入り口なのになぁ…絶対迷惑になってるよな。人集まってきたし…でも転移しようにも何処に泊まるか聞いてないからなぁ…八方塞がりか。
「「相子で…ショッ‼︎‼︎」」
次の手は…イブが再びのチョキ。
そしてケシャナの手は……閉じられていた。
「勝者!ケシャナ殿下‼︎」
ワアアァァアア!!!
キャアアアァアア!!!
いつの間にか周りは見物客に囲まれていて、審判までいた。どっから湧いたんだよ…
「…ケシャナ、完敗よ。
旦那様と…楽しんできてね!」
「イブさん…本当にありがとうございます。
次も、負けませんよ?」
「フフフ、それはこっちの台詞でしょ?
ケシャナ、次は勝つわよ!」
やっぱり仲いいよなぁ…
「おっと、今日の敵は明日の友!
イブ殿下とケシャナ殿下、熱い握手を交わしましたぁああ‼︎」
ウオオオオォォオオ!!!!!!
ちょっといい話風にするのやめよう?
只ジャンケンで一回相子になっただけだから。
俺は逃げるようにイブとケシャナの手を引いて走った。
「2人とも…お疲れ様?騒がしくなってきたのと移動してすぐだから、一回サインインして腰を下ろしたいんだけど…どのホテル?」
「えっと…確か『旅館帝』って言う所よ」
「他大陸形式のホテルらしいです!
たまにはそう言うのも良いかなって2人で決めたんです!」
「「ねー」」
さっきまで殺意まみれでジャンケンしてたのに…
気にしたら負けか。
「何処にあるんだ?」
「多分もうすぐ見えると思うんだけど…
見たらすぐに分かる筈よ」
2人は辺りをキョロキョロと見回し、すぐにケシャナが
「あ、ありました!あの建物ですよ!」
その指の先には、確かにここらでは余り見かけない風貌で、かなり浮いている建物があった。
『のれん』と言う布をめくり『引き戸』と呼ばれる扉を開けると、
「ようこそお越し下さいました。
御ゆるりとお寛ぎ下さいませ…」
と着物を着た女性達が迎えてくれた。
「ここには『温泉』って言う特別なお風呂があるんだって!い、一緒には、はい…入ろうね…?」
いやそこで顔赤らめられても…可愛すぎて困る。
「何2人でいい雰囲気出してるんですか!?私も一緒に入りますから…から……入りますからね‼︎⁉︎」
俺の妃達が可愛すぎる件……あぁ、俺も顔赤いんだろうな。
その様子を少し微笑みながら見守ってくれた女性(女将と言うらしい)は俺たちが落ち着いてから部屋まで案内してくれた。
投稿遅れてしまい、すいませんでした!





