帝王は、城内を散策する
急いで転移したカルワは執務室に戻ってきた。自分の迂闊さを反省しながら、イブとケシャナを探す為に城内を歩く。もう隠す必要も無いので変化魔術は解いてある。
しばらく歩いていると城で働いているメイド達と出会った。帝王を認識した瞬間、作業の手を止め、目にも留まらぬ速さで身だしなみを整え整列する。一糸乱れぬ連携で手本のようなお辞儀をした。
「「帝王陛下、お勤めお疲れ様です」」
「お疲れ。最近どう?」
「「お陰様で何不自由なく生活させて頂いております」」
「それは良かった。
これからもよろしく頼むよ」
「「はっ‼︎」」
この2人は双子で、元々はスラムの住人だったのだが帝王による行政改革の一環でスラムの住人達を真人間にする厚生施設にてメイドとしての才能を開花させ帝王に仕えられた。自分達の命を救われ、尚且つ仕事まで与えてくれた帝王を神の様に敬っている。
因みにこの双子は暗殺者としての才能も持っている。暗部長につぐ実力者である。
「あ、そうだ。
イブとケシャナ見なかったか?」
「「申し訳ございません。見かけておりません。宜しければ奥様方の捜索を行いますが」」
「いや、じぶんで探すよ。
じゃあまたな」
「「畏まりました。
行ってらっしゃいませ」」
またしばらく歩いていると兵士長と出会った。
「おや、帝王陛下。一体どちらへ?」
「あぁ、プレゼントをかったからイブとケシャナを探しにちょっとな」
「ほう!プレゼントですか。それはお2人とも喜ばれるでしょうなぁ」
「それよりお前、兵士達の訓練は終わったのか?」
「えぇ、勿論ですとも。最近少しあやつらも強くなりましてなぁ。調子に乗っていたので叩きのめしておきましたよ」
「それでいつもより早かったのか。殺さない様に気をつけてくれよ?」
「はい、肝に命じておきましょう。あぁ、そう言えば御二方は確か食堂におりましたぞ」
「本当か!?ありがとうな」
「いえいえ、とんでもございません。
…所で、帝王陛下はイブ様と念話が出来る指輪をはめているのでは?それを使えばわざわざ歩いて探す必要も無かったのではないでしょうか」
……確かに。
「あー……まぁ、たまには城内を歩いとかないと城の構造忘れるだろ?」
「なるほどなるほど……帝王陛下に限ってその存在を忘れていたなんて事は無いでしょうしね。ハハハハハ」
「も、勿論だろぉ!?ハハハハハ!
…行ってくる」
宝石店と同じ様にして転移したカルワは食堂で2人の姿を見つけた。





