帝王は、妃を増やす
帝王は、アウローラのHPが100%まで回復した事を確認してから、頬を軽く叩きながら呼び起こす。
「おい、起きろ」
「ん……うーん?」
どうやらまだ意識が朦朧としているようだった。年端もいかぬ少女 (11歳) が致命傷を受けたのだ。無理もないだろう。しかし、そんな事は御構い無しに帝王はアウローラを起こそうとする。
「おい!起きろ!」
少し語気を強めると、
「ひゃ、ひゃい!?…えぇ‼︎⁈⁈て、ててて、帝王様⁉︎」
効果は抜群だったようで、すぐさま目を開ける。そして、眼前に迫る帝王の顔を見て一瞬硬直し、一気に顔を朱色に染めた。それは、好きな人の顔を近くで見た為か、それとも好きな人に寝顔を見られた恥ずかしさからか、はたまたその両方か。
しかし、これから口にする帝王の言葉はそれらを軽く吹き飛ばし、より一層朱色を濃くする程の衝撃的な物だった。
「…俺の、勘違いだったら…すぐ否定しろよ?…お前は…俺に、少なからず好意を寄せているよな?それも尊敬とかではなく、恋人になりたい的な方で」
アウローラは、心臓が破裂しそうな勢いで脈動するのを感じ、今にも顔から湯気が出そうになった。そして聞こえるか聞こえないかの声量で、
「……はぃ」
と答えた。それを聞いて帝王は何とも言えない表情になった。そして、
「お前のその気持ちは、純粋に嬉しい。だが、年齢が年齢なだけに今お前の気持ちに応える事は…残念ながら出来ない」
その言葉を聞き、アウローラは泣きそうになった。やはり、自分では無理なのだと心の底から絶望した。……しかし、帝王の話は終わってはいなかった。
「だが!もし…もしもだぞ?お前が6年間俺に対する想いを変えずにその時まで俺を想ってくれるのであれば、その時はまた俺のところに来い。そして…まぁ親に挨拶に行こう」
これらの言葉の意味を理解するまでに数瞬、アウローラの涙腺はここで完全に崩壊した。
帝王はその胸を貸し、アウローラが泣き止むまで、ずっとアウローラを見守り続けた…
〈食堂〉
「という事がありまして…妃が増えました」
今ここにいるのはカルワとイブとケシャナの3人だ。カルワは事の結末を2人の妃たちに伝えた。
「えっ…と、カルワ君。1つ言ってもいいですか?」
「私もよ、旦那様」
妃たちは顔を見合わせ、せーのと小声で言ってから、
「カルワ君って……ロリコン?」
「旦那様って………ロリコン?」
「いやいや!そんなわけ無いだろう!?ちゃんと17歳になるまで待って欲しいって伝えたし!」
と、必死に弁解するも…
「んーでもOKしたんですよね?10歳の時点で」
「前々から思っていたのだけど…旦那様って基本的にくる者拒まずよね。この調子なら一体妃は何人になるのかしら…先が思いやられわね」
「……はい。2人のおっしゃる通りでございます」
的確に痛い所を突かれ反論出来ないカルワであった。
ギリセーフ!
もしかしたら、明日も……?





