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帝王は、受験者達をスカウトする


『全員合格』という言葉を聞いても浮かれている者は誰一人としていない。それどころか俯いている者がほとんどだ。そして、受験者同士で顔を見合わせ何かを確認し合い、


「申し訳ございません、帝王陛下。ご無礼は承知の上ですが…我々は辞退させて頂く事は出来ないでしょうか?」


と代表が言った。それを聞いて帝王は


「何故だ?」


と聞き返す。暫し無言になった後、ゆっくりと口を開いて辞退の理由を説明した。


「我々は全員それぞれの分野において誰よりも極めたと思っていました。そして、今考えると思い上がりも甚だしいのですが…貴方様にも勝てると考えておりました。しかし貴方様に打ちのめされて上には…我々などが及びもつかない程の上がいるのだと理解出来ました。そこで我々は諦めてしまった。

しかしあの少女は諦めなかった!圧倒的な実力差を前にして尚勝とうとする野心や闘争心。それすらない我々が帝王という偉大な職業に就ける筈もありません。

よって、辞退させて頂きたいと思いました…」


「成る程。だったらお前ら教師になる気は無いか?」


「…はい?」


「もうすぐ帝国学校を建てるんだがまだ教師がいなくてな。最初の方は俺が直々に指導しても良いかと思っていたが、お前たちが教師になってくれたら後々楽だしな。どうだ?」


受験者達が悩んでいると、


「ああ、言い忘れてた。給料は完全成績制。つまり、お前たちの教師としての才能に全てが掛かっている。帝国はお前たちが金を稼げなくて死にそうになっても何の援助もしない。詳しい話は決めてからだがな。後は教師用の寮の建設も予定している。全部屋個室、三食飯付き、防音完備だ」


この話で揺らいだ者がおよそ10名。残りの5名はまだ今までの人生を捨てる程だとは思えていない。しかし次に続く言葉には残る5人も反応せざるを得なかった。


「最高成績を収めた生徒を教育した教師には俺から『教師王』の2つ名を授けよう」


この言葉は帝王に敗北し、その偉大さにひれ伏し神の如き存在だと認識している者たちにとってそれは何物にも変えられない、大変な名誉であった。


受験者達は一斉に忠誠を誓う姿勢をとり、


「陛下の有難いご提案、謹んでお受けさせて頂きます!」


「よし、死ぬ気で教えろよ?」


「ハッ!!」×15


「そういえば、アイツもそろそろ意識取り戻すかな?」


「アイツ……!へ、陛下あの少女はあのままでは死んでしまい「慌てるな、もう治してある」ホヘッ?」


壁に埋まり、瀕死だったアウローラのHPは既に9割近くまで回復していた。

9月に期待!とか言った癖にこのザマです。明日も投稿するので許して……

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