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帝王は、選別する


今は丁度昼飯の時間だ。俺が、イブとケシャナと一緒に昼飯を食べていると、ノックの音と共に聞き慣れた兵士の声が聞こえる。


「お食事中、失礼します。現在までの試験結果の報告に参りました」


「入れ」


「ハッ!では、ご報告をさせていただきます。現在、学力試験と適性試験の両方において他と圧倒的な大差を築いて首席になっている者がいます。その者の名は、アウローラと言うそうです」


「アウ、ローラ…?」


と不思議そうに声を出したのはイブだ。


「ご存知なのですか?」


「ええ、勿論。旦那様も会った事があるわよ?」


……分からん。


顔に出てしまっていたようで、イブはクスリと笑って、


「まぁ名前を知らないのは無理も無いわ。あの時は私の両親への挨拶で忙しいかったしね」


…イブのご両親に挨拶する前?…あぁ、そういえばカミラの家族を助けたな。となると、あの時いた妹か…あの年で首席とは…やるな。


俺は素直に感心した。100人がかりでも傷1つ付けられないような雑魚も多かったが強者がいない訳でも無かった。


それで首席…末恐ろしいな。確かあと20分程で戦闘試験か…楽しみだ。


「それともう一つお耳に入れておきたい事が…」


そう言って兵士は俺の側に寄り耳元である参加者の結果を囁いた。


「…ふむふむ、なるほど」


「私共では、判断が難しく…


「それについては俺に任せておけ」



〈20分後〉


「さぁ、昼休憩も済んで緊張も解れたか?ではこれより、戦闘試験を行う!

…と言いたい所なのだが、残念ながら既に不合格の者がいる」


「な…っ!?ふざけるな!そんな横暴があるか!」「そうだそうだ!いい加減にしろ!」「さっきからガキの癖に何偉ぶってんだよ!」


「……………黙れ」


底冷えするような声が試験会場に響き渡る。それと同時に帝王を中心に超がつく程の重圧プレッシャーが放たれる。

先程、帝王に不満を言っていた者達は既に失神寸前だ。


「この帝国において、帝王オレは絶対だ。例え帝王が子供だろうが家畜だろうが“そこ”に一切の揺らぎは無い。帝王たる俺の言葉に口を挟むな。尊敬を忘れるな。お前らは俺に生かされているという事実に気付け」


まるで打ち合わせていた様に帝王が話し終えた瞬間、バタバタと参加者が倒れていった。


「あらら、これっぽっちの重圧で倒れるとか、根性無しかよ…やっぱり帝都民になりたい者とは試験を分けるべきだな。


残ったのは、10…6人か。因みにこの中に不合格者がいる。それは、お前だ」

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