帝王は、試験を始める
急遽発表された『帝王選抜試験』の開催と概要。国民の反応は様々であった。我こそが帝王に相応しいと奮い立つ者。適性試験だけ受けて手に職をつけようという者。好成績を収め帝都民に成り上がろうとする者。それらの全てが帝都の試験会場に集結していた。
「…思ったよりも数が多いな」
と本音を思わず漏らしてしまう。隣にいたイブとケシャナも
「そうね、昨日の今日で5000人なんて…」
「皆さんそんなに帝王になりたいんですかね?
カルワさんが帝王でいる限り無理だと思いますけど…」
と言葉を発する。
「まぁこの試験でいい結果を出せたら帝都民になれるからな。それが目的の参加者も多いんだろう」
試験発表前に追加された報酬を加味すれば、この人数妥当である。と、そこに兵士がやって来た。
「お話中失礼します!準備が整いましたので開会の辞をお願い致します」
「ん、わかった。じゃあ行ってくるよ」
「「行ってらっしゃい」」
試験会場は、帝王城の近くに作られた。それは、帝立学校の運動場としても使えるようにという配慮の為だ。
試験会場は円形のドーム型で面積は街1つ程だ。その中には夢と野望を携えた者共がひしめきあっていた。
「あー、テスト中テスト中。聞こえていたら手を挙げてくれ」
突如として鳴り響いた声に、参加者の目が一斉に音の発信源に向けられる。そこには若くして帝王となった前々王の息子の姿があった。
参加者がその姿を確認した瞬間、優に100を超える魔術が帝王に襲いかかる!その威力は火山の噴火にも匹敵するほどだったが…
「おお、ビックリした…聞こえてるっぽいな。
では、これより開会の辞を述べる」
黒煙の中から何事も無かったかのように出てきて、そのまま話し始めた帝王。その顔には微塵の怒りも感じられない。
歯牙にもかけられていない事に怒りを覚える愚か者。自分と帝王との差に恐れを抱く者。帝王の実力を垣間見た事により、新たに戦略を立て直す挑戦者。
それらを気にも留めず、帝王の口から淡々と言葉は紡がれる。
「戦え、勝て、手に入れろ。可能性は誰にでも平等に、ある。実現できるかはお前たち次第だ。
…俺に成り代わろうとする者達よ。俺は逃げも隠れもしない!…が、もちろん容赦もしない。俺に牙を剥くという意味をよく考えて、覚悟した上でかかってこい。…以上だ、頑張ってくれたまえ」
こうして、第1回目の帝王選抜試験が開かれたのであった。
どうして夏休みの方が書けないんだ…
時間はある筈なのに……





