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帝王は、会議を開く


〈2ヶ月後…〉


「ではこれより、定例会を始める。

何か報告のある者はいるか?」


定例会は2カ月に1回あり、部長クラスで情報交換を行う。ちなみに、ここで交わされた言葉は一言一句たがわず、書記係に記録されその日の内に国民用の掲示板に張り出される。また、掲示されるのは言動だけでなく、あくびを何回していたかや、露骨に時計を気にしていたかなどの行動も掲示される。


すっと、財務大臣(部長)が手を挙げる。


「発言せよ」


「はっ!財務部より報告致します。

現在帝国内での収入は支出を凡そ3倍程上回っております。現在の財務状況ならば帝国学校を建設する事もなんの憂いも無く実行出来ます」


「成る程、その件に関しては後ほど話し合いの場を用意する。

他に報告のある者は?」


音も無く手を挙げたのは、暗部長…兼メイド長でもあるクリステリアだ。サイドゥルス公爵家から引き抜いた後、直ぐにその実力を示し瞬く間に暗部長とメイド長にまで上り詰めた。


「暗部からの報告です。

聖精神王国の使者の尋問が完了しました」


そう、ガルムピト王国を傘下に加えた後すぐに行ったのは聖精神王国の情報収集だ。あの国に関する資料は不自然な程無かった。まるで元からそんな国など存在していないかのように。しかし、1カ月前、ちょうどいいところにいた使者を捕縛し、尋問させていた。ようやっと成果が出たようだな。


「聖精神王国は、約50年前から存在しており、現在の人口は500万。その内戦闘員が400万と言う驚異的な数字です。さらに、その内の10万人がスキルレベル100越えとの事です」


その衝撃的な事実に即座に反応できる者はおらず、会議室は痛い程の沈黙に包まれた。帝国でもスキルレベル100越えなぞ5万いるかどうかと言ったところだ。それの倍なんて…


ようやく言葉を発したのは兵士長であった。


「それは…にわかには信じられんが、事実…なのだろうな…尋問も大変だったであろう。ご苦労様じゃ」


「恐縮です。ですが、最初は渋っていましたが2週間が経つ頃には聞いてもいない事すらペラペラと喋ってくれたので思いのほか楽でした」


……?何か違和感を感じる……何故だ?

…分からない。…が、この違和感が事の本質に繋がっているような…


「他に何か情報はあるのか?」


「いえ、もう…あぁ、そういえば1つだけ、大した情報では無いのですが、毎日そいつがうわごとのように呟いていたのが…『いつか貴方様が真なる神へと至ります様に、我らが神よ』と言うものです」


…『真なる神』ねぇ……


「そいつには絶対に逃げられ無い様にしておけ」


「ハッ!仰せのままに」


「よし、他に報告のある者は?」


「はい、魔道具部からです。実は…


………会議は静かに幕を下ろした………

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