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帝王は、カミラの家族を救う

休んでしまい申し訳ございませんでした!


「……あぁ、聖精神王国に洗脳され王国に楯突いた者たちでございますな?」


「ん?洗脳されてたって知ってたのか?」


「えぇ…あの男ほど王国に尽くしてくれていた者はおりませんでしたから…鑑定士に見てもらいました。洗脳がもう解けているのもわかっているのですが…何も無しに解放するわけにもいかず……」


そう言うと国王は深々と頭を下げて、


「本当にありがとうございました…!」


「…何の話だ?」


真面目に何の話か分からない。

感謝される様な事をした覚えは無いんだが…


「…いえ、なんでもありません。

では、衛兵に地下牢へ案内させます」


〈移動中…〉


カツーン…カツーン…


石の階段を下りてくる音がする。

それも…2人?

いつも、巡回は1人だが……


「ねぇ、お父様。

私たちはいつになったらここから出られるのかしら?」


「…あぁ、きっともうすぐだよ。

カミラがきっと助けを呼んできてくれるさ」


「…お父様は昨日も一昨日もそう言っていたわ!私ももうお子様じゃ無いのよ?こんきょの無いきぼうてきかんそくじゃ無くて、もっとちゃんとしたのを教えて欲しいの!」


ぐっ…やはりこんな嘘で騙すのも限界か…

まだ、11歳とはいえこの子は非常にさとい。

一刻も早くここから出してあげたいが……


「アウローラ、あまりお父様を困らせ無いであげて。カミラが助けを呼んでいるのは事実なのだから」


「でも!お姉様が助けてくれる人を探せるかはわからないじゃ無い!」


「…あぁ、話が白熱しているところ悪いがちょっと良いか?」


「「「ッ!?」」」


喋りかけてきた?…明らかに巡回の者とは違うな。そこにはカミラと同世代くらいの男の子が立っていた。だが、この顔…どこかで見た覚えが…


ガチャン!


と、突然牢屋の鍵が開いた。


「では、自分はこれで失礼します!」


「おぅ、お疲れー」


…は?自分の目の前で起きている事なのに全く理解できない。一体何が…鍵がかかっていない?で、出られるのか?


「き、君は一体…何者なんだ?」


「…君……まぁ、いいだろう。

俺は帝王。

カミラからの救援要請によりお前達を解放した」


…帝、あっ!思い出した!そうだ、帝王だ。

…でも、いくら帝王とは言え他国の囚人を勝手に解放するなんて出来るのか?


「…お前ら出ないのか?」


その言葉をキッカケに私たちはおずおずと牢屋を出る。たった数メートル。だが、牢屋の中と外では明らかに違う空気に思わず涙腺が緩む。妻と娘はまだ現状に追いつけていないらしく、ボーッとしている。


「一体どうやって私たちを解放した…んですか?」


「ん?そりゃこの国ったからな。

もうこの国は帝国のもーー「貴様ァァァ!!王に何をしたァァァアア!!!??」


私は理性が止めるのも聞かずに帝王につかみかかろうとする…が、私の視界は周り背中に衝撃を受けたかと思うと下から帝王を見上げていた。


「全く…早とちりしてんじゃねぇよ。

国王は降伏したから人的被害は一切出てない。

無血開城を選択したんだよ王は」


「じゃ、じゃあ王は?」


「ピンピンしてるな。

気になるのならその目で確認してこいよ」


「…いや、私には王に合わせる顔はない…いくら状況が状況とは言え王に楯突いてしまったんだ…私にはもう貴族を名乗る資格も無い」


「んー、アイツお前が洗脳されてたこと知ってるから多分大丈夫だぞ?」


「…え?な、は?

そ、それは本当なのですか?」


「あぁ、つうかもうダルイから全部アイツに聞け!

俺は今から用事があるんだよ…じゃあな」


そう言うと、帝王は虚空へと消えてしまった…

誰かがポツリと漏らした。


「カッコいい…」


…ん?き、気のせいだよな。まさかアウローラが帝王をカッコいいだなんてそんな…


「お母様!私、帝王様と結婚するわ!!」


「まぁ!それは良いわね。でもそれならこれまで以上にお勉強や習い事を頑張って帝王様に吊り合える淑女レディにならないといけないわね」


「…えっと、アウローラ?

お前確か男が嫌いって言ってなかったか?」


「帝王様は別よ!あの凛々しいお顔立ち、逞しい身体、溢れ出るオーラ…なんて素敵なのかしら……」


ポゥッと頬をピンク色に染めるアウローラ。…身分とか、年齢とか色々アウトなんだが……父親としても貴族としても複雑な気持ちだが、今はとりあえず押し殺して王の元へ向かうとしよう。

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