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帝王は、妃達と共に日常を過ごす


結局、イブとケシャナと一緒に風呂に入るのは延期になった。イブの両親にはまだ挨拶が済んでいないからだ。


俺は、これから二度と出来ないであろう1人風呂を存分に満喫し風呂から出た。


夕食の時間になっていたので食堂に転移する。食堂は、優に1000人は入る程の広さを誇っている。他の国ではあり得ない事だが、この国では帝王も兵士も同じ場所で同じ飯を食べる。もちろん俺だけに付いている専属料理人なんかもいない。


何故こう言う形式をとっているかと言うと、この国のモットーは『実力主義』であり、帝王の座もその範囲内にある。つまり、誰でも俺に成り代わり帝王になる事が出来るという事をその身をもって体感してもらっている。また、誰かが帝王になってもまず第1に国民の事を考えるようにして欲しいと言う思いも込められている。


「「「帝王陛下!合宿お疲れ様でした!!」」」


「おう…あぁ立たなくて良い。座ってくれ。俺よりもお前達の方が訓練で疲れてるんじゃないのか?…アンドッシュ!顔色が悪いぞ?ちゃんと休めているのか?」


「あ…すいません。

その…最近妻が寝かせてくれなくて…ハハ」


「それは…いい事だな!

子供が生まれたら会いに行っても良いか?」


「な!?いやいや、わざわざお越しいただかなくても、こちらから挨拶に向かわせて頂きますよ!」


「…そんな事をして子供が風邪でも引いたらどうする!もっと子供の事を考えてやれ」


「…陛下……」


…なんか、ジーンとしてるんだが…

俺、普通の事しか言って無いよな…


と、その時俺の後ろに2人が転移してきた。


「カルワさん!お待たせしました。

着替えるのに苦労しちゃって…」


「フフ、見て旦那様!

これ凄いでしょ!!」


振り返ると

そこには楽園が広がっていた…いつもの服と全く違った装いにただただ感動して声が出せなかった…


「これ、きもの?って言う物らしいです!

他大陸の人が送ってくれたみたいですよ」


「本っっっ当に着るの大変だったわ。

まぁ、旦那様を喜ばせる為なら全く苦じゃ無かったけどね」


「…あぁ、本当に、言葉も出ないくらい綺麗だよ。2人とも」


そう言うと、2人は頬を朱に染め、照れ臭そうに袖で顔を隠した。その動作の一つ一つが優雅で壮大な美を表していた。


その間、兵士達はポカーンと口を開けてただ座っていた。やっと声を発して


「へ、陛下…その女性方は一体…?」


「俺の…婚約者だ」


「な、なんと…まだ15歳と言うのに…しかも、2人……流石は帝王陛下様だ…」


いや、よく分からない所で感動してんじゃねぇよ。全く…


その後は、城に勤務してくれている全員が食堂に来てちょっとしたパーティーが開かれた。皆んなイブとケシャナの美しさにため息を吐いていて、俺は自分の事の様に鼻が高くなった。


この日は『初代帝王の婚約記念日』として祝日になったとさ…

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