帝王は、イブの親へと挨拶に参るが…
7/5休みます
そんなこんなで、ケシャナの両親への挨拶は無事終わった。念のため『これからこの国攻めるけど反撃しないでくださいね』とは言っておいた。
城へと帰り次はイブの両親。…つまり、俺の恩人でもある公爵と公爵夫人に挨拶をしに行く。
〈転移中…〉
イブに予めイブの部屋へと転移してくれと頼まれていたので、望み通りの場所に出る。結構広めの部屋で、華美な装飾は無く、きちんと整理整頓されていた。
「…あ、その辺適当に座ってね。
荷物を揃えたら直ぐにお父様とお母様を呼んでくるわ」
「あぁ、わかった」
そう言うと、イブは部屋から出ていってしまった。…女子の部屋に男が1人って…良いのかね?誰か入って来たりとかしたら俺犯罪者扱いされそう…
まぁ、流石にそんな事は無いで----
ガチャ!
「…?変ね、何かの気配を感じたのだけれど…疲れているのかしら」
入って来たのはメイドだった。だが、その足運びや体の動かし方から察するに恐らく戦闘系の訓練も受けているのだろう。…下手をすると帝国の兵士より強いかもしれない。
…ちなみに、気配を消したのは暗黒神の見えざる布切れのスキルを使ったからだ。これが無かったら見つかっていたな……
メイドがこの部屋に来た用事は掃除の様で、無駄のない動きで瞬く間に終わらせた。もう一度埃やゴミが無いかの確認をして部屋を出る…かと思いきや、急に本棚の本を押したり引いたりし始めた。…まさか、本でよくあるギミックか?と思いしばらく眺めているとカチッという音がなり、イブのベッドがズレていった。
ズレきると、そこには転移魔法陣があった。
複雑な作りになっていて、登録された人以外は転移出来ないようになっていた。また、転移先を特定され無いようにもなっている。しかし、メイドは魔法陣をちょちょいといじり自らも通れるように改変した。
……戦闘能力だけで無く、魔法や魔術系統にも精通しているのか…ぜひ帝国に欲しい人材だな…
と、考えている間にメイドは転移してしまった。
メイドと同じ方法で俺も転移する。
転移した先には……
俺が大量にいた。
……………………え?何だこの部屋?
いやいや、衝撃的過ぎて気失いかけたって言うか失ってたけども!…絵、では無いな。こんなに綺麗に描ける訳が無いし…そもそもこれはイブのもの…なのか?
まぁ、逆にメイドのものだったら『何でこんなもの持ってんだ?』ってなるけど…あ、メイド忘れてた、何して…っ!?
そこには、涎を垂らしながら恍惚とした表情で俺(貼られている方)を眺めているメイドの姿が!?
「ハァ…カルワ様…なんと凛々しい御姿。
…公爵様に不満がある訳では無いけれど、帝王様に仕える事ができたならどれ程幸せなのだろう…」
あぁ、うんまぁ、悪い奴では無さそうだな…
ちょっとキャラ濃いが…今度声かけてみるか……
数分後、顔を引き締めたメイドは眺めていた俺を元の位置に戻してイブの部屋へと転移した。俺も続けて転移する。メイドは一礼してから部屋を出ていった。
しばらくして、イブが帰ってきた。
空間魔術のおかげで荷物を持つ必要が無いって言うのは幸せだね。どれだけ荷物が多くても大丈夫だし。まぁ、維持できるかどうかは別だけど。
「残念だけどお父様とお母様は、今はいないみたいなの。一度帝国に帰りましょう」
「そうなのか?少しくらいなら待てるが…」
「帰ってくるのは多分明日になるわ。
戦争の議論に駆り出されてるみたいだから」
あ、完璧に俺のせいですね。
でもなぁ、国奪ってから結婚の挨拶とかすると、脅してる風に取られなくもないんだよなぁ…
あっちにとっては逆らえない相手に事後報告された様な物だろうし。
ま、ウジウジ言ってても仕方ないか。
ひとまず帝国に帰りましょかね。





