帝王は、戦争の準備に励む
「お帰りなさいませ、我が君。
…とお連れ様方」
城にある帝王の間(玉座があり他国の王との会談などに使う)に転移した瞬間
サリーに挨拶される。軽く女性陣の説明をしてから
「あぁ、ただいま。
早速だが戦争の準備だ。
兵士長及び将軍を今すぐ招集しろ」
「ハッ!御意に」
女性陣には今の姿が中々好評の様で
「…すごいです」
「…本当に帝王してる。
信じてなかった訳じゃ無いけどこうやって直接自分の目で見ると…」
「頼れて本当に良かったですわ…」
〈3分後〉
会議室に集まった兵士長1名将軍3名。あと、サリーとイブ、ケシャナ、カミラの視線を一身に浴びながら、俺は今回の戦争の説明を始める。
「まず始めに、皆んな突然の招集にも関わらずこんなに早く集まってくれた事を感謝する。
さて、ガルムピト王国に攻め入る事になったのだが、理由はこの娘だ。
ほら、自分の口から説明しろ」
そうやって俺はカミラを一歩前に立たす。決して説明するのが面倒だとかそういう事では無い。
「は、はい!
私は、ガルムピト王国の伯爵の娘。
カミラと申します。
この戦争は、私の家族を救って貰う為、帝王様に開戦を決めて頂きました。
発端は、私の父が聖精神王国の使者に洗脳されてしまい……
要点をまとめた分かりやすい説明だった。カミラ自身が説明した効果は絶大で
「うぅ…子供になんて悲惨な経験を…」
「カルワ殿下!!今すぐ聖精神王国に鉄槌を!!…いや、家族に再開するのが優先か?
さすが、殿下!その深慮を直ぐに理解出来ず申し訳ございません!!」
「…迅速な行動が必要だな。
おい、私だ。今すぐ戦の準備をしろ。
…は?彼女とのデート?そんな物大事の前の小事だ!!!
終わったら嫌と言うほど休みをくれてやる!!
グズグズするな!部隊の奴らにも伝えておけ!全員だぞ!?」
「え、いやあの…そんなに急いで頂かなくても……」
「「「帝国の兵士たる者!!
一刻たりとも『不条理』を見過ごす訳にはいかん!」」」
コイツら、優秀なんだが人情に厚過ぎるんだよなぁ…
「…熱くなってる所悪いが、攻めるのは明日だ。
お前ら、ひとまず落ち着け。まだ、宣戦布告もしてないんだぞ?」
「既に完了しております」
「お前ら…行動早過ぎだろぉ…」
「殿下、口調が乱れています。
お気をつけください」
あ、やべ。カッコつけてたのバレたか!?
…大丈夫かな。フゥ…
「そうか、それでも相手に戦力を準備させる期間が必要だろう。
明日の朝仕掛ける。異論は認めん」
「「「…仰せのままに」」」
お前ら、不満顔に出し過ぎなんだよ。ったく…
「戦力分析は済んだのか?」
「殿下、こちらが資料になります」
フムフム…?歩兵3万。魔術師と魔法使い合わせて1万。砲兵5000…だけ?
「…これだけか?」
「左様でございます」
…これなら、無血開城も簡単…いや、簡単過ぎるな。
「よし、縛りプレイするぞ。
第1、攻撃魔法、魔術の使用禁止
第2、現場の指揮は全て現場に任せる
第3、相手のHPを半分以上削らない
第4、相手の将軍を見つけたら平兵士が一騎打ちを挑む
第5、緊急を有するまで将軍は出撃不可能
こんなもんだろう。
お前ら…出来るよな?」
「朝飯前です」
「…武器禁止も追加されてはいかがでしょうか?」
「時間制限も設けますか?」
「よし、採用。質問等は無いな?
では、之を持って会議を終了とする!」
…フゥ、結構かかったな。10分くらいか?次は5分で済まそう。
ふと、女性陣に目を向けると、唖然としていた。
「戦争の議論って…
こんなに早く終わるもの何ですか?」
「…そんな訳ないじゃない。
どれだけ早くても10時間はかかるわよ。
それをこんな一瞬で…」
「帝国…何もかもが規格外過ぎるわ……
私の技術如きが、この国で役に立つのかしら…」
え、10時間?
…何話し合ったらそんなにかかるんだ?
「あ、そう言えば。
我が君少しお耳に入れたい事が…」
「ん、何だ?」
「昨日、突如として謎の生き物が帝国領内に転移されてきまして、
一応捕獲してあるのですが…判断を仰ぎたいと思います」
…謎の生き物?
…………あ、あの肉のやつか?
アイツ本当に送ってきたんだな。
「あぁ、それについては心当たりがある。絶対に殺すなと伝えておいてくれ。
後で見に行く」
「畏まりました」
「…じゃあ、風呂でも入るか」
「「「お風呂!!??」
…あ、そう言えば帝国以外のところには風呂って贅沢なんだっけ?
お湯は魔法とか魔術で沸かせられるけど、容れ物が無いんだったか?
…あれ?でも、イブって公爵令嬢だよね?カミラも伯爵の娘だし…ん?
なんか違う事で反応して…あ、嫌な予感が……
「…えっと、先に入る?」
「い、一緒に入リます!」
「い、一緒に入る!」
パッと顔を見合わせたイブとケシャナ。その目には闘志の炎がメラメラと…
「あらケシャナ、無理しなくて良いのよ?その貧相な体で旦那様が満足するとでも?」
満足って…そもそも俺一緒に入るって言って無いんだけどなぁ…
「あらイブさんこそ。お風呂に入るって事は化粧が落ちるって事ですよ?
そのケバケバした化けの皮が剥がれちゃっても良いんですか?」
「化粧なんてしてないわよ!!
…ちょっとしか」
「休戦したんじゃ無いのかよ…」
「旦那様!どっちと一緒に入るの!?」
「カルワさん!どっちと一緒に入るんですか!?」
「俺は、風呂は1人で入る派なんですが…」
「今どっちと入るか聞いてるんです!」
「今どっちと入るか聞いてるのよ!」
…えぇっと…………
どうしよう?





