敗北者は、イジメの真相を知る
コイツ…いきなり出てきてなんなんだよ!今の明らかに告白の流れだっただろ!何邪魔してくれてんだよ!ったく、なんの目的で邪魔を…いや、邪魔すること自体が目的だったのか?…だが、何の為に?
「まぁ、ここやったらアレやし…早よ本買って本屋出よか」
「何でお前が仕切ってんだよ!」
「まぁまぁ、気にせんでええから」
「気にしてんだよ!気になってんだよ!」
「は〜あかんわ〜。一個の事に執着する男はモテへんで?」
「余計なお世話だよ!」
「余計なお世話とはなんや!せっっっかく、イブが何であんなんウチらにさせたんか教えたろうと思ったのに」
…あんなんってイジメの事だよな…コイツ、イブが俺をイジメた理由を知っているのか?それは…是が非でも知りたいところだが…今はケシャナとデート中だ。他の女と行動を共にするのは良くないだろう。それに、さっきの告白も最後まで聞いてない…
「いつまで待たせたら気ぃすむん?ウチ、そんな気ぃ長いほうちゃうから早よして欲しいんやけど!」
俺はチラッとケシャナの方を見る。
「良いですよ?咲宵さんとお話しして下さって。私がさっき言いかけた事なんて大した事じゃ無いですから…」
「ほな、決まりやな。じゃあウチ本屋の前で待っとくから、5分…まぁ10分やな。10分以内に来ぉへんかったらこの話無しやからな」
そう言うと、軽い足取りで出入り口の方に歩いていった。俺はケシャナをチラッと見るが顔を背けられてしまった。悲しみに暮れている暇もなく、俺は急いで本を買い、あれから7分後には本屋を出た。
咲宵は、光る箱?板?の様なものを見ながら俺を待っていた様だ。こちらに気づくとそれをポケットに直し、「じゃあちょっと歩こか〜」と言い近くの公園に移動した。ベンチに座ると、咲宵は話始めた。
「うーん、何から話そっかなぁ…
まず、アレを始めた理由っていうのは、アンタがウチらの学校に来るって言うのを聞いたからや。そこであのキモい校長が「キモい!?」
…ん?どこからか校長の声が?…気のせいか。咲宵も特に何も気にしていないようで、すぐに話を再開した。
「…校長が言うにはアンタはめっちゃ高いステータス持ってて、しかもめちゃくちゃ努力して、ぎょうさんスキル手に入れた正真正銘の努力する天才。にも関わらず何でか、クソ雑魚のゴミどもにイジメられてんねん。反撃したくないとか抜かす様な根性無しで腑抜けのカスの目でも無いのにやで。その事を不思議に思った校長が好奇心でアンタに推薦状出してん」
あの校長…マジでキモいな、ストーカーかよ。ってかいつ見られてたんだ?全く気付かなかった…
「いやぁ、アンタが来るって知った時のイブの喜びようときたら…嬉しさがオーラになって全身覆ってるぐらいやったで?ホンマ今思い出してもニヤけ止まらんなぁ…………………………」
「………おい?」
「はっ!トリップしてたわ…危ない危ない…で、イブは子供ん時にアンタ見捨ててもぉたんをめっちゃ気に病んでて…罪滅ぼしの為にアンタに足りてない所を強したろうと思ってイブはウチらにアンタを鍛える事をお願いしてきてん」
……は?鍛える?
「お前らは…俺を鍛えてたのか?」
「おん?それ以外無いやろ?逆に何やと思ってたん?」
「…イジメ」
「は?何でウチらがアンタの事イジメなあかんねん。イブに頼まれたからわざっわざっ寝る間も惜しんでアンタの事鍛えたったのに…心外やわ〜」
「そんな事、ケシャナは言って無かったぞ!デタラメを言ってるんじゃないか?」
「だってあの子、そん時おらんかったもん。牡蠣食って当たってトイレ行ってる最中にその話してて、ほんでちょうど話終わった時に帰ってきてウチが「新入生、シゴいたんで!」って言っただけやったからな。もうちょいちゃんと伝えとけば良かったかなぁ」
……え?じゃあ何?俺は勘違いで…コイツらの事ボコしたのか?…俺、ゴミクズ過ぎじゃね?…俺が一番嫌いな奴らと同じ事してるじゃねぇか。
「まぁ、アンタがウチらに勝った時は漸く成果が出たか!ってみんな大喜びやってんで?特にイブなんかもう泣いて泣いて…宥めんの大変やってんで?」
俺は、この日ほど自分を恨んだ事は無い。





