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敗北者は、娘を救う


5合、10合と剣を重ねて思う。この女…強い。確かに今の俺はステータスも低い、剣術スキルも凍結されている。だが、その事を考慮した上で尚、この女は強いと断言できる。手数で勝負するタイプだが、その太刀筋の一つ一つが重く速い。基礎鍛錬を怠っていない証拠だ。また、鬼気とした表情。それに伴う激しい気迫。どれをとっても一級品。


…本当にアイツらの子供なのか?…アイツらの子供にこんな真っ直ぐな剣が繰り出せるのか?


「…なぁ、お前の両親の名前は?」


「チッ、白々しい…それとも、名前すら覚える必要の無い奴らだったと言いたいのか!?

どれだけ私を…私の両親を…侮辱するつもりだ!!!」


…ダメだこりゃ。正常な精神状態じゃ無い。まさか、状態異常か?…鑑定



名称 ケシャナ

年齢 15

種族 人族

種族レベル 112

職業 細剣術師

職業レベル 159



【称号】

努力に認められし者


【ステータス】


状態:錯乱、狂乱、幻視


HP:1570062

MP:245750


物理攻撃力:12476

物理防御力:8542


魔素攻撃力:2456

魔素防御力:7518


素早さ:45035

幸運:0


【スキル】


『パッシブ』

気配察知:レベル79

危険察知:レベル76


『アクティブ』

肉体強化:レベル32

限界突破:レベル91

上級細剣術:レベル98


『ユニーク』

剣の天才


『固有』

裏切らない努力



…はぁー、やっぱり状態異常かかってたか。…一回気絶させてから万能薬でも飲ますか。

だが、今の俺だけでは無理だな。


俺は思いっきり力を入れてケシャナを吹き飛ばし、カダラの近くに跳び作戦を伝える。


「カダラ!手を貸してくれ。俺があいつの隙を作る。出来たらすかさず眠眠玉を投げろ!」


「あ、ああ分がっだっぺ。おいにまがせろ!」


よし、後は俺の働き次第。と、言いたいところだが正直なところ既に決着はついている。


ケシャナは1人でこの階層まで進んできた。つまり、ソロで30匹ものモンスターと戦った。その消耗は、決して無視出来ない。また、俺と戦っている時も力み過ぎている。もう彼女の体力は限界だ。このまま、防戦一方の戦いを続けても勝てる。無駄な体力を使うことはない。




〜5分後〜



体力を完全に失ったケシャナは目も当てられ無いほど無様な様子だ。白目を剥き、口は半開きでヨダレを垂らし体全体が小刻みに震えている。そんなほぼ瀕死状態になってから俺はケシャナを羽交い締めにした。と同時にカダラの眠眠玉から煙が上がる。(同じパーティのメンバーには仲間の攻撃や状態異常攻撃は効かない)


そして万能薬を飲ませて、ようやくケシャナは年相応の女子の寝顔になった。

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