敗北者は、世界最強になる
特訓を始めて3ヶ月。苦しい事や辛い事ばかりで楽しい事なんてなかった。何度もやめたいと思った。でも、この試練に合格すれば俺は特訓をやめられる‼︎
その試練の内容は…ここ敗者の間にいる全ての影を1日で支配下に置く事。今までは強くなる為に、必敗をONにしたままだった。でも今日は…いや、今日からは違う。俺は敗者をやめるぞぉ!
必敗 状態 OFF
先ずは動物系を狙う!
スパン!!
「モォォォオオオ!!!」これは剣闘士に負けた闘牛
ブシャ!!
「プギィィイイ!!!」これは雌を争って負けた豚
ドッッ!!
「ウキィィイイイイ!!!」これは縄張り争いに負けた猿
………………………………
フゥ、全動物(1万体)を支配する迄に5時間か…多分間に合うな。…今のうちに纏めておくか。
よし、ステータスも上がった。良さげなユニークスキルも獲得した。さぁ!気を引き締めて続きやっていこう!
と思った瞬間5000程の人影が一斉に襲い掛かってきた。しかし、英雄は一騎当千。英雄を遥かに超える俺にとって雑魚がいくら群れて来ても何の障害にもならない。むしろ、探す手間が省けてラッキーだな。だが、俺は油断はしない。例えステータスが全て1だとしても、全力を尽くす。
「さぁ、奴隷どもよ。とくと見るがいい。これがお前らの王の力だ‼︎
絶敗王剣術奥義 敗北者は無に還れ…無敗‼︎‼︎」
そう言った途端に世界から音と光は消え、俺が剣を横にスゥゥと動かす軌道だけが光っていた。誰もがその光に魅入られた瞬間、モノの数が倍になった。普通、死ぬ時に感じるのは恐怖や生への渇望。だが、その時死んだ影にあった感情は、畏怖と尊敬。この方に一生ついていきたいという心酔だけであった。
それらを纏め終わると、1つの影が堂々とした足取りで近づいてくる。その佇まいは、正に王。自分と通ずる何かを感じたカルワは、即座に警戒態勢を整える。が、その影は気にもとめず先程と同じ、いや早い速度で近づいてくる。だが、不思議と危険は感じない。それどころか安心感さえ覚える。…そんな人物、カルワには1人しか心当たりがない。
「…父さん?」
その言葉を発すると、影の歩みは止まり。カルワが所持している剣と全く同じ剣を抜き。ポツリと
「…すまない」
その言葉を言い終わるやいなや切り掛かってくるも、その剣速は遅いと言わざるを得ず。まるで倒して欲しいかのようだった。
研ぎ澄まされた俺の勘と本能が「今だ‼︎殺れ‼︎」とうるさく叫ぶ。黙れ、そんな事は分かっているんだよ!
「…早く…殺せ!!!我が息子よ‼︎」
!!やっぱり…父さんだったんだ。…分かったよ。
「絶敗王剣術奥義 敗北者よ全てを失え…失敗!!」
「さ…すがだ。我が…最愛の……こ…よ」
…俺は父さんを纏めた。すると、新しい力に目覚めた。その圧倒的な力を使い、残りの影も刀神もあっさりと倒した。
目覚めたらまだサリーがいた。急に膨れ上がった俺の力に腰を抜かしそうになっている。そんなサリーを横目に俺は空間を移動してアイツらに会いに行った。
さぁ、復讐の時間だ。