エピローグ カルワは凱旋する
世界の進化に関するアナウンスが終わったら次は全一様が喋り出した。
「やあやあ諸君。ご機嫌よう、全ての頂点に立つ全一だ。
さて、先程のアナウンス、まーだ真偽を疑っている様なら今すぐやめた方がいい。
死にたくなければな」
ゾッとするほど低い声に、さっきの話は本当だったのだと無理やり理解させられる。
それほどの説得力と強制力だった。
「まあ別にお前らが死のうが生きようがどうでもいい話だけどね。
あ、そうそう。因みにこの状況作った奴はカルワっていう奴だから殺したかったらご自由に~
別に殺しても元通りにはならないけどね(笑)じゃ、そう言う事なんで後は勝手にがんばれー」
と言って以降言葉は聞こえなくなった。
が、すぐに俺のところに来て
「お疲れ様。いやぁ、俺の台本通りに動いてくれてありがとう!お陰で不自然なく次に繋げられる」
「次…?」
「お前には関係の無い話だ、忘れろ。......今まで頑張ってくれたしな、よし!特別に教えてやろう。
モンスターとダンジョンが現れるのは最低でも2週間後だ。この世界は1週間が10日だから20日後だな」
「成る程......というか何で俺が原因だって公表したんですか?」
「ん?なんとなく」
「なんとなくって…」
「今のうちに青春しとけよ?お前が思ってるほど世界は優しくないからな。
じゃあな」
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俺は一抹の不安を胸に帝国に帰った。俺のせいで世界が進化したと知ったから俺を恨んでるんじゃないかって。しかし全くの杞憂だったようで皆明るく迎えてくれた。
それどころか、凱旋パーティの準備がしてあった。
元エリザード王国、今の帝国を見て母さんは涙を流していた。そしてポツリと呟いた。
「血は争えないわね、貴方」
そこからはお祭り騒ぎだった。死んでしまった兵士や刀神の分まで楽しんだ。妃達は母さんに挨拶していた。子供のころの恥ずかしい話をされそうになり慌てて止めに入ったりもした。
俺は人の目をかいくぐり死んだ兵士達の石碑を訪れ、そこにいた家族や友人、恋人に謝罪した。
「本当にすまなかった!俺が不甲斐ないばかりにいたずらに兵士を死なせてしまった。
罰は俺が受ける!こんなことで償えない事は分かっているが気が済むまで殴ってくれ!」
「…顔をあげてください、帝王陛下。誰もそんな事は望んでいません。それに、息子は立派に戦って…死んだのですよね?帝国に全てを捧げたのです。ッ誇らしい…事じゃありませんか!」
「陛下、あいつは帝王陛下に、帝国に尽くすことをずっと自慢してました。
だから、あいつは幸せですよ!きっと…きっと天国でも自慢してますよ」
「帝王陛下が悪いことなんてありません!辛辣だけど、彼が弱かったんです。
それに、私には彼との思い出もあります。陛下が全てを背負う必要は無いんです」
俺は投げかけられた優しい言葉に思わず目頭が熱くなった。
もう2度と死者を出すわけにはいかないと誓った。
モンスターやダンジョンが相手でも俺たちは絶対に負けない。
こうして、変わりゆく世界の中で帝国も強靭に生まれ変わろうとしている。
と、言うわけで本編はこれで終わりです!ご愛読ありがとうございました!!
作中でも言った通りここから20日間の準備期間を経て新作を投稿していきたいと思います!
出来次第、この小説の番外編と共にリンクを貼りますのでブクマはそのままにしておいてください!
恐らく最後の媚になりますが、評価の程をお願い致します。m(__)m