敗北者は、再会する
「今いる一階は、共有スペースで貴方の階は、8階です」
俺は、不安で頭がいっぱいで話が入って来なかった。それを察した試験監督の人は
「…大丈夫よ。私も最初は不安だったけどすぐに慣れるわ」
と言って安心させてくれた。…うん?
「最初は って貴女は生徒だったのですか?」
「いえ?今も生徒よ。…そう言えば自己紹介がまだだったわね。私はオフィリア。生徒会長を務めているわ。これからよろしくね、カルワ君」
「あ、こちらこそよろしくお願いします」
「じゃあ、皆を呼んでくるからちょっと待っててね」
スッ
そう言って、オフィリア先輩は虚空へと消えた。…それにしてもびっくりしたなぁ。ずっと先生だと思ってた。…スゥハァ、皆を呼んでくるって言ってたから、もうすぐ会えるのか…緊張してきた。
スッ
そして、7人の生徒が現れた。
男子は、眼鏡をかけたデブとムキムキのおっさん臭い奴。
女子は、黒髪黒目と、金髪碧眼と、緑髪で黄色の目と、オフィリア先輩ちなみに、銀髪に紫色の目。
そして、あの夕焼けの様な赤髪。パッチリした金色の目。間違いない、イブだ。やっと会えた、この学校に来たのはこれが目的でもあった。
久しぶりに見たイブは、俺をジーーッと見た後慌てた様子でフイッと目を逸らした。あの時と同じ様に…めげないしょげない諦めない!まだ、嫌いと言われた訳じゃ無い!!…ストーカー?…知らない単語ですね。
「ほら、自己紹介して」
小声でオフィリア先輩に催促された。
「皆さん、こんにちは。サイドゥルス公爵領から来ました。カルワです!これからよろしくお願いします!」
「はい、じゃあ。カルワ君の顔見せと自己紹介も終わった事だし解散!!」
オフィリア先輩がそう言って手を叩くと一階には俺以外誰も居なくなった。
スッ
と思ったら、オフィリア先輩の上半身だけ現れて
「ごめん。これ渡すの忘れてた。はい。後は自分で読んで確認してね〜」
そう言って俺に書類だけ渡して消えた。
…喋り方変わりすぎじゃね?って言うか何となくあの校門の魔道具の声に似てたような?やっぱり人が喋ってただけか。そして、俺は上下に動く箱の魔道具で8階に向かった。