悪役令嬢、ブランコに乗る
今日も3部投稿するつもりです。
「ところでマリア……木たちがおかしな椅子作ってるんだけど、きみ、何か変なこと考えたりした?」
「え?」
リンが指さす方を見る。そこにあったのは……
「……ブランコ?」
蔦で作られたブランコだった。
伸びてきた蔦が私の手を取って、ブランコの元へと導く。恐る恐る腰をかけると、リンが肩へととまった。
「木が喜んでる。マリアが好きなんだね」
「そうなの? あの、漕いでみてもいい?」
「いいってさ。この蔦はすごく丈夫だから大人二人くらいなら乗れるよ。心配しないで思う存分楽しんでって言ってる」
「わぁ、嬉しい。ありがとう、木さん……言い難いな……なんて呼べばいいのかしら?」
「うーん……植物って名前で呼ばれることに慣れてないから、『庭の隣人』なんてどう?」
「『隣人』さんね! 皆、ありがとう」
どういたしまして、と言うように木の葉がざわざわと揺れる。にっこりと微笑んでブランコを漕ぎ始めたとき、こちらに歩いてくる気配を感じた。
まさか追手!? と身構える。隣人さんたちが隠してくれてるけど気配察知系のスキルを持ってる人には見つかってしまう。
足音が聞こえる方をじっと見ていると、物陰から現れたのは一人の男の子だった。
黒髪に紺碧の瞳、ダークブルーで統一された服を着ているその子がこちらに気づき、目を見開く。
「え……マリア嬢!?」
やっぱり。
マリアの心臓はドクドクと脈打っていた。
なぜなら……
「ルーク、様……」
フロスピのお助けモブであり、マリアの最推し。
ルーク=アラベスタ、その人だったのだから。
また数時間後よろしくお願いします。
第5部を一部修正しました。
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