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ピアノ線って某死神名探偵でもあったよね

お久しぶりです、さびねこです!

教習所に行き始めました!運転怖いです!

バイトと教習所詰めの日々を送っておりますゆえ、超超ロースピードの更新になります。気長に待ってくださると嬉しいです


「ついてきてる?」

「来てる来てる」

「気配が消せてないねぇ……」

「むしろ視線が刺さりますねー」

「変装に黒いフード被ってたら怪しいとは思わんのか?」

「そういう頭もないんじゃないの」


 ぞろぞろと歩きながら森の中を進むマリアたち一行。その後ろには真っ黒なフードを目深く被った少年が隠れながらついてきている。もう怪しい以外の何者でもない。憲兵がいたら一瞬にして取り押さえられているだろうこの人物は言わずもがな、ブランドン少年だ。


 昨日相談した通りキャンプの予定でギルマスから森の奥に潜む謎の魔物の生態調査と、その周囲に集まった魔獣の討伐を請け負ってきた。諸々の道具を〈ケース〉に放り込んで簡単な武器だけを持ったほぼ手ぶら状態で森を進んでいく。途中でもいだ苺を頬張りながら、アランがぽつりと呟いた。


「もうここまで来るとストーカーだな」

「誰に対するストーカーになるの? これ」

「そりゃマリアだろ。ったく変なのばっか引っ掛けてくるなよな」

「私だって好きで引き寄せてるわけじゃないですよ!」


 そもそも、今回はそのストーカーに実力差を見せつけることが目的だ。マリアたちが見える位置にいてもらわねば困る。

 苺を完食した辺りでお義兄様がピタリとその歩を止めた。


「おい、来たぞ」


 その言葉に応えるように前方の茂みががさがさと揺れた。棍棒や石を握ったモンスターたちが地面を揺らすように歩いてくる。


「オークかぁ、誰が行く?」

「んじゃ、俺が行くわ。ひっさしぶりにぶん回すぜ〜」

「とりあえずエレノア嬢は僕の後ろにおいで。ニコラスのとばっちりを食らわないように」

「は、はいー」


 エレノアがアルの背後に回り、二人の周囲にはアランが防護結界を張る。マリアとルークはその光景を感慨深げに眺めていた。


「あのアル兄様が女の子を守ってる……アランもあんな手早く結界張れるようになって……」

「あ、アル様もハーモニカで内側から補強してるよ。マリアが考えたんだよね?」

「うぅ……音に魔力を乗せる特訓しまくってよかった……もう曲覚えちゃうかと思うほど演奏しまくったあの日々を思い出すわ……」


 瞳を潤ませるマリアの頭をよしよしと撫で、ルークは後方の林からニコラスを見つめているブランドンに視線を投げる。

 目の前のニコラスは久々の魔獣との戦闘にハイテンションで、カラドボルグを振り回してオークの群れを蹂躙している。あと三十秒といったところだろうか。

 キラキラと、まるでおとぎ話のヒーローを見るようにニコラスの動きに目を奪われているブランドンに、ルークは思わず眉根を寄せた。


(ニコラスに毛ほども届かない剣技で、マリアに師事を請おうなんて)


 おまけに傲慢で、偏見的で、アランを馬鹿にし、マリアに命令し、ルークたちの平穏を乱そうとしたエトランゼ。その罪は先日、マリアに喧嘩を売った少女より重い。本当は今すぐにでもその目を潰すかマリアを隠すかして、その視界から彼女を失くしたいのに。


「ルーク?」


 自分を呼ぶ声にハッとマリアを見やる。ぐるぐる巡る思考に無理やり終止符を打って、その澄んだ紅眼に微笑んだ。


「ほら、マリア。そろそろキングオークが出てくるよ。今日の晩御飯の材料にするんでしょ?」

「あ、そうだった。一応大体の食材は持ってきたけど新鮮な方がいいもんね」


 今日はキャンプの予定だから、快適に過ごすための道具は〈ケース〉に詰め込んできたし、食材だってあるけどやっぱりその場で狩って食べるお肉は美味しい。キングオークは前世でいう豚肉がグレードアップした感じだから脂身も多くジューシーだ。バーベキューにもってこいなのである。

 そんなことを考えていると、全滅したオークの背後から、ぬぅと大きな体躯のキングオークが出てきた。


「お義兄様ー、キングオークは私たちが狩りますから、キープでお願いしますー!」

「わぁってるよ!」


 ビッと剣についた血を払ったお義兄様が、ぴょんぴょんと周囲を飛び回ってキングオークを翻弄する。剣を上手く使ってあっちこっちと飛び回るさまは感心するのだが、なんと言うか……繊細さが足りないのである。テンション上がると細切れにし始めるし、脂はそこらじゅうに散らすしで、お義兄様が狩った肉は料理するのにはいまいちなのだ。だからマリアが首を落としたりルークが水魔法で窒息させたりする。


「マリア、今日は僕がやるよ」

「うん、じゃあお願い」


 ルークはすっと前に出ると、指先ひとつで水球を操りキングオークの口を塞いだ。がぼがぼともがき苦しんだキングオークだが、そのうち抵抗が小さくなり、遂には地面に膝をついて倒れた。手早く頭を切り、逆さまにして血抜きをする。が、そこでマリアが声を上げた。


「あっ、しまった。吊るロープ忘れちゃった……」

「おまえな……」


 じと、と半目で見てくるアランに、マリアは気まずげに目を逸らした。


「どうせエレノア嬢が来るからはしゃいでトランプだの人生ゲームだの詰め込んで忘れたんだろう」

「ぎくっ」

「図星か」


小馬鹿にしたように鼻で笑うアランにマリアは悔しげに唸った。すると、アル兄様の後ろにいたエレノアがおずおずと手を上げた。


「あのー……ちょっと硬いくらいの糸でよければありますがー……」

「ホント!? お願いエリー!」

「あまり期待はしないでくださいねー」


 そう言うと、エレノアは大きく息を吸い込んだ。

 パンッと勢いよく両手を合わせ、細く長く息を吐きながら手を離していく。すると、銀色の太い糸がその間から伸びていた。糸を紡ぐように伸ばしていき、ある程度長くなったところでエレノアが糸をくるくるとまとめてマリアにぽんと渡す。


「できましたー」

「えっ、なにこれすごい! 魔法なのっ!?」

「はいー。私の母は蜘蛛のエルフですから糸を操るのは得意なんですー」

「エルフ族はいろんな自然界の生き物の特徴を持ってるんだっけ。エレノア嬢は蜘蛛なんだね」


 学者肌のルークがエレノアが巻き取った糸をまじまじと見つめた。マリアは糸を触って感嘆の声を漏らす。


「硬い……その辺のロープより全然頑丈だわ。これってもっと細くしたりできるの?」

「それ以上細いと切れちゃうんですよー。だからその硬さだとそのくらいが限界ですねー」

「……念のため聞くんだけど、切れちゃうって、糸が?」

「いえ、肉がですー」


 ……沈黙。マリアはふと、ピアノ線を使った殺人事件を思い出した。相手に勢いや重さがあると、非力な女性でも簡単に人を殺せるというやつだ。マリアはエレノアの華奢な身体を見てぶるっと身を震わせた。断言したってことは、すでに何かの肉を切ったのだろうか。それが生きていなかったことを願いたい。


「まあこれで今日の晩御飯は決定ね! バーベキュー用のお肉と、余った糸でチャーシューにしましょう! 明日の夕飯は豚骨ラーメンです!」

「おおお! ラーメン久々だな!」

「らぁめんって何ですかー?」

「うーん……スープパスタみたいなもの、かな。最初はびっくりするけど美味しいから、楽しみにしていいと思うよ」

「び、びっくりですかー」

「兄上の言う通り不味くはないぞ。好みはあるが……俺は味噌派だ」

「僕はあっさり塩味が好きだよ」

「そんなに種類があるんですねー」

「でもマリアとルークがしょうゆ派だから、基本はしょうゆ味なんだ。だから豚骨は結構レアだよ。ニコラスは豚骨が好きだからすごく喜んでるね」


 アルヴァンスの視線の先には満面の笑みを浮かべたニコラスが嬉々として剣を振っている。先ほどわらわらと出てきたゴブリンはあっという間に討伐されていた。


「ラーメンは明日だってわかっているのか? アイツは」

「どうだろうねぇ。でもバーベキューやり始めれば忘れるよ」

「おーいっ! そろそろ先に進むよ~」


 どうやら魔石を回収し終わったらしい。ブンブンと手を振るマリアの横で、ルークが布袋に魔石をつめている。なんでも売り物にならないくらい小さい魔石は砕いて肥料にするらしい。マリアが寮に作ったハーブ畑に撒いているのを見たことがある。


「あー、もっと手ごたえのある敵でねーかな。ちぃと物足んねぇ」

「もー、お義兄様。今日の目的忘れちゃったんですか?」

「忘れた」

「マリアにしつこく付き纏うストーカーを潰すためだよ」

「ルーク……違うでしょ。ストーカーくんにみんなの実力を見せつけるためだってば」


 敵意満々のルークが、ブランデンが隠れている辺りの林を睨んだ。


「もう、他の人を牽制するくらいなら私を見ててよ。私はルークしか見てないのに不公平じゃない?」


 むす、と頬を膨らませたマリアがルークの腕を抱きしめた。途端に険しい顔をしていたルークが頬を緩める。


「僕もマリアしか見てないよ。ただ、僕らの時間を邪魔する奴は排除しておかないとなって思ってるだけ。でも一番確実なのはマリアを閉じ込めちゃうことなんだけどなぁ」

「それはだーめ。私もっと冒険したいし、みんなと遊びたいもの。持ってる能力は有効活用しなくっちゃ」

「じゃああいつ、社会的に抹殺してもいい?」

「賢者の書をそんなことに使わないの! そんなことしなくたってどうとでもできるんだから。今我慢してくれたら、あとでルークの大好きなフォンダンショコラ作ってあげるから」


 ね? と上目遣いで見つめると、ルークが左胸を抑えて悶絶する。どうやらクリティカルヒットを決めたらしい。得意顔のマリアにルークを除く全員が呆れたと苦笑した。


「またやってんなー」

「マリアのアレはどう見ても計算ずくだな……」

「小悪魔女子ってやつだねぇ」

「自分の顔がいいことわかってやってますもんねー」


 そろそろ日が一番上に昇る頃だ。頬を染めあう二人を横目に、アランたちは大きめのレジャーシートを敷き始めた。


いつも評価とブクマありがとうございます!全然ストーリー進みませんね!さっさと弟君たち入学してくれませんかね!!という感じで作者ももやもやしておりますが、ゆるゆるマイペースなマリアたちの日常を楽しんでいただければ幸いです。たぶんエンジンかかったらすぐ進むと思います、多分。

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