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悪役令嬢は死にたくない。〜目指せ、完全無欠のハッピーエンド〜  作者: さびねこ。
第一章 悪役令嬢マリア(5)
5/67

悪役令嬢、パーティーに出席する

二回目です。

 ついにやってきました、パーティー当日。

 この前選んだドレスを着て、髪も綺麗に飾る。動くたびに鳴る鈴がなんか面白い。

 首元にサテンのリボンも結んで鏡を覗く。

 うん、可愛い。さすが金髪紅眼美少女は違うわ。


 鏡の前でくるくる回っていると、コンコンとドアがノックされる。返事をすると薄緑色のドレスを纏ったお母様と同色のネクタイをしたお父様が入ってきた。


「お父様! お母様! お二人ともとてもお似合いですわ!」

「ありがとう、マリア。君もとても可愛いよ。昔のフィーリアにそっくりだ」

「いやですわ、オーウェン様ったら。チークをのせているんですから、これ以上赤くさせないでくださいな」

「そう言われると私の瞳の色くらいまで赤く染め上げたくなるね」

「うふふ、それはまた今度でよろしいかしら?」

「おや、それは楽しみだな」


 オーウェンとフィーリアは娘を褒めたと思ったらお互いの名前を呼び合いながらのイチャイチャタイムに突入した! マリアのきゅうしょにあたった! こうかはばつぐんだ!


「お嬢様、お気を確かに!」

「ハッ! いけない、ポケットに入るモンスターのいる世界でバトルしてたわ!」

「なんですかその世界!? 怖すぎませんか!?」

「海に森に町にいるのよ!」

「侵食されてる!?」

「奥様お嬢様旦那様! もうすぐ開会の時間になりますよ! 何をしてらっしゃるんです!?」


 そんな会話をしていると、メイド長の怒号が飛んできた。

 メイド長、ミシェルさんはこの家の全てを取り仕切る大ベテランで、お母様が幼い頃から仕えており、暴走しがちなお母様を宥められる数少ない人物である。

 ミシェルさんの一喝で二人の世界に入っていた両親は現実へと引き戻され、少し残念そうにしながら私を連れて会場へと歩いていく。両親が仲睦まじいのは喜ばしいことだがちょっとでいいのでTPOをわきまえていただきたい。


 舞台裏に連れていかれ、壇上にお父様が上がる。綺麗に一礼をして、会場に響き渡るように言葉を発する。


「皆様、今日はよく来てくださった。先日、危篤状態だった私の娘が奇跡的に回復し、病の呪縛から解放された。その娘を紹介したいと思う」


 来なさい。と言われ、ゆっくりとした足取りでお父様のもとまで歩いていく。病弱令嬢の登場に少しざわめいた会場を横目で見渡す。公爵家のパーティーにしては人数が少ないが、子供が多い。婚約者か友人か、取り巻きにでもなるために来ているんだろう。全くと言っていいほど興味がわかなかった。

 コツコツとヒールが床を叩く。チリン、チリン、と髪飾りの鈴を鳴らしながら歩き、たっぷり時間をかけ会場が静まる頃合を見て父の隣へと立った。お腹から声を出し、空気を震わせる。


「マリア=セイントベールです。長らく病に侵されており、社交界の経験はほとんどございません。至らぬ点も多いとは思いますが、どうか温かい目で見守っていただけると幸いです」


 よろしくお願いします、と言ってドレスの裾を摘み、軽くお辞儀をする。

 よし、完璧にできた。最後に軽く微笑んで、お父様の言葉を待つ。


「頂いた沢山の心配と見舞いに、感謝を申し上げたい! 今日は心ゆくまで楽しんでいってほしい」


 乾杯、という声と共に会場のグラスが一斉に掲げられる。それからは、和気藹々としたパーティーが始まった。

 ……まぁ、私は全く楽しめないけど。


「マリア様、回復なさって何よりです」

「マリア様、ドレスとてもお似合いですわ!」

「マリア様、私の息子が貴女と同い年でして……」


 来るわ来るわ、挨拶という名の売り込みの嵐。にこやかに挨拶を済ませていくが、病み上がりの体にこれはきつい。体力的には全然だけど、精神的に無理。元気がすり減ってく気がする。

 どうにか取り入ろうと媚びた笑みを見せる客人たちに耐えかねて、マリアはララさえ会場に残して急いでその場をあとにした。

また夜に。


2018年12月25日に修正しました!

報告をくださった方、ありがとうございました!


さびねこ。 ฅ^•ﻌ•^ฅ

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