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ユリウスと第三王子 2

アレクセイの一人称を僕→俺に変更しました!

「っ、それ! 治せます!!」

「……え?」


  ユリウスの言葉にぽかんと口を開けて固まる男の子。髪は陛下より少しくすんだ金髪をした彼の、赤紫の瞳が戸惑いに揺れる。


「初めまして、アレクセイ殿下。私はセイントベール公爵の娘、マリア=セイントベールと申します」

「セイントベール……」

「ええ、ユリウスの姉ですわ」


  そう言ってにこりと微笑む。未だ状況が理解出来ていないアレクセイは呆然とこちらを凝視していた。


「アレク」


  アランが一歩、前に出る。アレクセイの肩がビクリと揺れた。


「すまなかった、アレク。俺も兄さんも、あの頃問題があって……いや、これは言い訳だな」


  アランが苛立たしげに自分の髪をぐしゃりを混ぜた。


「父上に隔離されたとき、無理にでも会うべきだったんだ。触れることは出来なくても話すくらいはできたのに」

「アラン兄……」

「本当に、すまない」


  兄に頭を下げられ当惑するアレクセイ殿下と、申し訳なさそうな顔で弟を見つめるアラン。

  気まずい空気をぶち壊したのは、マリアの隣に現れたルークだった。


「はっ!?」

「えっ!?」


  兄弟が驚きの声をあげた。


「ルーク! どうだった? 許可は取れた?」

「ばっちり。ああ、初めましてアレクセイ殿下。マリアの婚約者のルーク=アラベスタと申します」

「え、あ」

「マリア、これ許可証。どうする? 今からやる?」

「そうだねー。よし、アレクセイ殿下」


  マリアはニッコリと笑って言った。


「その力、封印したいですか?」

「したいっ!」


  反射的に叫んだアレクセイがハッと口を抑える。その様子にマリアはますます笑みを深めた。


「わかりました。それでは陛下からの許可も得ていますので、早速ですが……」


  〈ケース〉から取り出した一つのネックレス……というか、チェーンに魔力を込めて、アレクセイに渡す。


「これは……?」

「ていうか今どこから……」

「着けてください」

「おい」

「着けてください」


  ツッこんでくるアランを無視して、笑顔でアレクセイに迫る。マリアに気圧されたように、アレクセイが腕にチェーンを着けて見せてきた。


「……つ、着けたよ?」

「はい、封印完了です!」

「「…………はあ!?」」


  さっきといい今といい、タイミングバッチリだなこの兄弟。


「ふざけてるのか!?」

「はー? ふざけてる分けないでしょ! 疑うなら触ってみれば?」

「どうですかアレクセイ殿下。僕の心、読めませんか?」

「うん……うん! 全然わかんない! 何も頭に響いてこないよ! やったあ!!」


  ぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを表現するアレクセイと、嬉しそうに笑うユリウスに心がほっこりする。両手を繋いでくるくる回る二人を眺めていたら、肩をガッと掴まれた。


「説明してもらおうか……!」

「ひぇっ」

「アレは何なのか。出どころはどこか。まずどこから出したのか……! すべてこと細かく詳細に話せ……!」


  鬼気迫る様子のアランに顔がひきつる。あわわ……と後ずさるマリアをルークが抱き寄せた。

  ヤバイ、行動がイケメン。いや顔もイケメンだけども。


「アラン、マリアを怖がらせないでよ」

「おまえにも説明してもらうぞ! 先ほど一瞬でマリアの隣に現れたな! あれはなんだ!」

「あー、飛び火しちゃったかぁ……」


  ルークが出てきたことでさっきの〈テレポート〉も思い出しちゃったらしい。引き下がる様子のないアランに、マリアは意を決した。


「ルーク……話そう」

「……いいの?」

「あの陛下の様子じゃ、長い付き合いになるだろうし……ずっと隠しとくのも大変だもん」

「わかった。マリアが話すなら僕も話すよ」

「僕も話します。隠し事はしたくないですし……」


  いつの間にかこちらを見ていたユリウスが、アレクセイを見ながら言う。


「じゃあどうしよう。やっぱりステータス見せた方が早い?」

「そうだね。さあアラン、アレクセイ殿下」

「これから見たこと聞いたことはどうか内密に」


  こくり、と頷いた二人を確認し、マリアは〈ステータス〉と呟いた。


 *****


「だから! ルークが私の隣に来たのは私が賢者の指輪に仕込んだわ! た! し! の! 魔法!」

「それで、そのチェーン……『封印の鎖』は〈ケース〉っていう収納魔法から出したやつで……なんでそれが入ってたかはマリアもわからないらしいんだ」

「いえ、あの、人の心は読めませんが、人の状態とかを見れるというか……」


  案の定私達は、ステータスを見ただけでは理解出来なかった二人に事細かに説明していた。まあ〈ケース〉に入ってたのはゲームで前世の兄が突っ込んでたダブりなんだけど、出処不明にしておく。〈ケース〉自体が珍しいからこれでごまかせる、はず。


「…………おまえら本当に人間か?」


  頭痛を堪えるように頭を抑えたアランが絞り出したのは、そんな一言だった。


「人間に決まってるでしょ! 正真正銘、あなたと血の繋がった従姉弟よ」

「僕も人間だよ」

「信じられるか……なんなんだ、おまえらの狂ったステータスは」

「大丈夫? 回復魔法いる?」

「いらん!」


  アランをからかっていると、私たちの会話を聞いていたらしいアレクセイがユリウスにタックルした。


「ユリウスー!」

「ぐっ……なんですかアレク」

「人間だよね!?」

「人間ですよ!?」


  いつの間にかユリウス、アレクと呼びあっている二人が可愛い。ていうかやりとりも可愛い。


「ユリウスも常識人に見えて常識的じゃなかったんだな……」

「あ、アラン様。姉上たちの説明でおわかりいただけたでしょうか? 」

「ああ、もう、おまえら本当姉弟だな」


  そんな二人の会話にむくれる子が一人。


「ずるい……」

「えっ?」

「ずるいっ! 俺もリア姉とルー兄って呼ぶ!」

「えぇ!?」

「アラン兄を名前で呼ぶんだったら俺もアレクって呼んで!」


  さすが末っ子、駄々こねはピカイチだ。その姿が前世の妹と被り、こうなったら自分の思い通りにならない限り諦めないことを悟る。


「わかったわ、アレク」

「リア姉!」


  ぱあっ! と太陽のように笑うアレクに目を細める。ルークが続けて呼べば更に嬉しそうに「ルー兄!」と叫んでいた。

  兄と呼ばれるのが嬉しいらしく、ルークがよしよしとアレクの頭を撫でる。その様子を見守っていると、すすす……と一つの影がマリアにくっついてきた。


「どうしたのユリウス」

「……」


  むす、と不機嫌そうな顔をするユリウスにピンときて、耳元でこっそりと囁いた。


「ルーク取られて拗ねちゃった?」

「拗ねてなんていません! 僕には兄上がいますし!」

「なんなら俺のことを兄と呼ぶか?」


  ひょっこりと現れたアランがユリウスの頭を撫でる。大人しく撫でられながらも、ユリウスは「いいえ」と首を振った。


「僕、姉上と結婚する人以外、兄と呼ぶ気はないですから」

「……ルークも苦労するな」


  どうやらユリウスのシスコンは、マリアの予想以上らしい。

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