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悪役令嬢は死にたくない。〜目指せ、完全無欠のハッピーエンド〜  作者: さびねこ。
第二章 悪役令嬢マリア(6)
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戦闘シーンって初めてじゃない?

ブクマが500を超えましたー!これもひとえに皆様の温かい応援のおかげでございます!これからもマリアたちをよろしくお願いします!

「それにしても……」

「ああ、見られてんな」


  ルークとの通話を切ったあと、マリアとニコラスは頷き合う。


「ざっと二十匹くらいか? この気配はグレイウルフだな」


  グレイウルフは名前の通り狼型の魔物だ。そんなに強い訳では無いが、そのぶん群れを成すので少人数だと分が悪い。


「お義兄様、気配だけで種類までわかるんですね」

「やり合ったことある奴だけな……ところでおまえ、魔物と戦ったことあんのか?」

「ないですよ」

「……はっ!? おまえさっきルークに偉そうなこと言ってたじゃねぇか!」

「まあ魔法も剣もどうにか使えると思うのでノープロブレムですよ」

「なんでそんな自信満々なんだよ……ったく、足でまといは勘弁だぜ」

「分かりました……ところで、お義兄様? 剣は?」

「…………ねぇ!」


  てへぺろ! じゃないですよ!!

  マリアは〈ケース〉から適当に剣を引っ張りだし、ニコラスへとぶん投げた。


「ひとまずこれで我慢してくださいっ! あとでなんか見繕ってあげますから!」

「お、さんきゅー。おまえは?」

「私はとりあえず魔法で行きます」


  二刀流とかしたいんだけど、とりあえず魔法がどのくらいの威力を持ってるか確かめたい。


「来るぞ!」

「はいっ!」


  大きく口を開けて迫ってくるグレイウルフに向かって手を伸ばし、手のひらに水を発生させる。


「とりゃっ」


  前世のアニメを模して打った水球が、グレイウルフたちの頭に直撃してすっぽりと顔を包む。あとは溺れて死ぬのを待てばいいだけだ。


「えっぐいなおまえ……」

「魔物も空気がなければ生きられませんから」


  さて、水魔法は成功。お次は風魔法である。

  某忍者のアレをイメージして、手のひらに集めた空気をぐるぐる回す。ブーメランを投げるみたいに手を振り抜いた。


「あっやば」


  グレイウルフの首を刎ねた風が、これまたブーメランのように戻ってきてしまった。慌てて魔法をとき、事なきを得る。


「次は火かな〜」


  妖怪図鑑の鬼火のように、小さい火の玉をいくつも作る。怯んだようにこちらを窺うグレイウルフに躊躇いなく点火していく。


【グギャオオオオオオオ!!!】


  そんな断末魔をあげながら、炎に包まれたグレイウルフが次々と倒れていく。その声がだんだんと小さくなってきた頃に、水を浴びせて消化する。


「なあこれ俺いるか?」

「えー要りますよーすごい助かりますー」

「これ以上ないくらい棒読みだな……」


  そういうお義兄様もあげた剣でザッカザッカ切り倒していっている。首も一回でぶった斬ってるし、多分この人めっちゃ強いな。


「全部やったか?」


  なぎ倒すこと二分弱、目の前に転がるのは様々な死因の死屍累々。


「お義兄様、これって素材買取してもらえると思います?」

「してくれると思うぜ。状態がよけりゃそれなりな値段で」

「でも散らばってて集めるの面倒ですね……風で集められないかなぁ」


  竜巻をイメージして、風魔法をくるくる回す。そうして周囲を一回りした竜巻はマリアの目の前でほどけるようにして消えた。

  ……回収した魔物の肉塊を落として。


「おまえさぁ……」

「〈ケース〉。これでオーケーですね。さ、早く行きましょう」


  遅くなるとルークに怒られてしまう。索敵魔法を使って辺りを見れば、一つ、大きな魔力反応があった。


「……リンのじゃないけど、強い魔力の波動を感じます」

「とりあえずそこ行ってみるか? 他に手がかりもねぇしな」


  索敵魔法を発動させたまま、反応が大きい場所へと歩を進めていく。


「なんか、段々魔物が減っていっているような気がします」

「ああ、確実に少なくなってんな」


  次々と現れる魔物を討伐しながら走り続けること数十分、身体強化でスピードをあげてきたから相当遠いところまで来た。


「お義兄様、止まって!」

「な、なんだ?」

「近い……っていうか、どす黒い魔力……!」


  そう呟いた途端、ザ、ザ……と砂利を踏みしめるような音が聞こえてきた。咄嗟に身構えると、木の向こうからそれが姿を現した。


「……ッ、んだよアレ……!」


  大きな、犬だった。三メートルは優に超えると思われるほどの体躯、マリアの背丈ほどの尾、そして何より、その頭部は三つに分かれていた。


「ケルベロス……!」

 

  そうまさに、その姿は地獄の番犬と謳われた、ケルベロスそのものだったのだ。口から荒く息を吐き、黒い涎が滴り落ちる。

  マリアは〈ケース〉から一本の剣を取り出した。


「おいマリアッ」

「来ます!」


  その言葉と共に、マリアとケルベロスは同時に地を蹴った。

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