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悪役令嬢は死にたくない。〜目指せ、完全無欠のハッピーエンド〜  作者: さびねこ。
第一章 悪役令嬢マリア(5)
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悪役令嬢、チートが発覚する

本日三話目の投稿です。

「お嬢様!! ご無事ですか!?」

「あああ何でもないのララちゃん! 虫が窓にいて驚いただけなの! 虫ももう逃げたわ!」

「お、おお驚かさないでくださいっ! 寿命が縮んでしまったではないですか!」

「ごめんなさい!! それよりその武器早くしまってぇぇ!」


  部屋に飛び込んできたマリア専属メイド:ララちゃん(十二歳)が持っていたのは、ナタ。もう一度言おう、ナタである。あの十三日の金曜日に出てくるアイツが愛用する凶器である。そんなものを持って鬼の形相で部屋に駆け込まれたらどう思うだろうか。正直ララちゃんの台詞をそっくりそのままお返ししたい。


  私が叫ぶとララちゃんはハッとした様にナタを背に隠した。うん、遅いから。それよりなんでナタなんて持ってたのララちゃん。


「も、申し訳ございません……とにかく、お嬢様に何もなくて良かったです。他の者も驚いてましたので、できれば絶叫は控えていただきたく……」

「もうしないわ! 何かあったらちゃんっとベル鳴らします!」

「そうしてください……もう少ししたら昼食をお運びします。食べれそうですか?」

「ありがとう。もちろん食べれるわ! 楽しみにしているとジャッジに伝えて」

「かしこまりました」


  ジャッジとは屋敷のお抱えシェフである。我儘マリアの気まぐれにも無茶振りにも答えてきた職人気質のオジサンだ。マリアは一度も美味しいなんて言わなかったけど。

  お互いに若干疲弊しながらも、ララちゃんが軽く挨拶をして扉を閉める。あ、ナタの理由を聞きそびれた。


  マリアは気を取り直すようにため息をつき、いつの間にか消えていたタッチパネルを出した。


「〈ステータスチェック〉……あ、やっぱり出るんだ……」


  もはや死んだ目でステータスを見る。パネルの表示は、こうだ。


 マリア=セイントベール(5)

 種族:人間 性別:女

 職業:

 剣闘士Lv.MAX

 魔術師Lv.MAX

 聖職者Lv.MAX

 錬金術師Lv.MAX

 テイマーLv.MAX



「…………」


  なんっっだこれ。チートで転生とか憧れだったしよく読んでたけどいくらなんでもこれはないだろ。バグでしょこれ。むしろバグだと言って欲しい。


「私強すぎない……? パワーバランス大丈夫なのこれ……ていうかどっかで見たなこの羅列」


 どこだっけ? と首を捻る。


「うーん……思い出せない。あ、そういえばスキルとかあったよねこのゲーム。それ見ればわかるかな……」


  画面をスライドして現れた文字たちに、マリアの瞳からハイライトが消えた。


 スキル:

 諜報スキルLv.64

 鑑定スキルLv.73

 召喚スキルLv.85

 狙撃スキルLv.78

 裁縫スキルLv.MAX

 調理スキルLv.MAX


 特殊魔法:

 治癒魔法〈ヒール〉

 収納魔法〈ケース〉

 空間魔法〈テレポート〉

 複合魔法〈コネクト〉


 特殊スキル:

 〈緑の手〉

 〈妖精の愛し子〉

 〈憩いの場〉

 〈迷宮の解析者〉

 〈クイズ王〉


 アビリティ:

 怪力

 威圧

 全属性魔法

 状態異常無効

 魔法攻撃耐性

 物理攻撃耐性

 身体強化

 魔法威力精密調節

 HP・MP高速回復

 索敵・探知・察知


 称号:

 〈ダンジョン踏破者〉

 〈牧場の主〉

 〈農場の母〉

 〈ゲームマスター〉


「……ハッ! ヤバい、意識飛んでた……あぁでも、うん、これあれだ。お兄ちゃんのアバターと同じステータスだ」


  兄がプレイしていたRPG「ユグドラシル」史上初のカンストアバター……確か女キャラが可愛いとか言って私の名前使ってやってたな。この異常値ステータス絶対それが継承されてるよね。


「そういえばちょこちょこジョブ変えてた気がするなぁ…全部平等に上げてたのか……器用だなあの人……」


  あとこの特殊スキルと称号……絶対妹と弟だよね。三人が「イベントをクリアしスキルと称号を手に入れろ! それが俺の力になる!」「言われなくてもやってるよ! ちょっと黙ってて!」「むしろ兄さんがレベル上げ怠ってんじゃねーの!?」「なんだと!?」って会話をしてた覚えがある……ていうかその会話の二日後くらいにファームが最高ランクになったって妹言ってたもんな……弟なんか音ゲーとかパズルとか黙々とやってたしそりゃあスキルもGETしてるわ。


「これに加えて私のフロスピ全ルート攻略、全スチル解放が重なるわけか……何周したかわからないくらいやり込んでるし、ぶっちゃけフロスピのエンドまでは未来予測の天啓持ちってことになるよね……」


  本当に大丈夫だろうか、パワーバランス…

  私一人でこの国落とせそうなんですけど。


  身に余るステータスに頭を抱えたとき、扉が軽快な音を立ててノックされた。


「は、はい」

「失礼します、お嬢様。お食事をお持ちしました」

「ありがとう、ララちゃん」


  ホカホカと湯気を上げるリゾットがテーブルの上に置かれた。ミルク粥だぁ……いい匂い。


「……あの、お嬢様」

「ん?」


  いざ、とスプーンを構えたところで、ララちゃんが声をかけてきた。


「失礼になってしまったらすみません。でも、あの……」

「なあに? 言ってみて欲しいわ」


  服の裾を揉んでもじもじとするララちゃん。可愛い。怯えさせないように微笑みを携えながら言うと、ララちゃんが躊躇いがちに口を開く。


「お嬢様……なにかありましたか?」

「え?」


  意外な言葉に虚を突かれた。ララちゃんは言いたいことが纏まっていないのか、たどたどしく先を紡いだ。


「あの……回復なさってから、どこか雰囲気が違うような気がして……病にかかられるまえはもっと、なんというか……私みたいな使用人の名前など覚えていないような、冷たい空気を纏っていらっしゃったので……」

「なるほど、あなたにはそう見えていたのね」

「あっ! も、申し訳ございません! 不躾なことを……!」


  普通に感心しただけなのに、勘違いさせてしまったらしい。泣き出しそうになる彼女を慌てて制す。


「あぁ、謝らなくていいの! ごめんなさい、あなたたちにはひどい振る舞いをしていたわ」

「っお嬢様!? あ、頭を上げてください! 私はそんなつもりで言ったんじゃ……!」

「ええ、でも謝らないと気が済まないの。死の淵をさまよって、人格が変わったと思ってもらって構わないわ。私はこれから人にそう思わせるほど、全く違う人間になっていくつもりだから……」


  ぜひ、側で見守っててちょうだい。

  呆然とする彼女にそう告げると、ララちゃんは両手で顔を覆った。肩が少し震えている気がする。


「ラ、ララちゃん?大丈夫?」

「ご、ごめんなさ……私、嬉しくて。お嬢様にそう言っていただけるなんて、夢にも思わなくて……名前を呼ばれるだけでも光栄なことなのに……!」

「名前なんていくらでも呼ぶわよ。あなたが私の専属でよかった。やめないでくれてありがとう」


  そう言うと、ララちゃんはついに声を上げて泣き出した。専属メイドと言ってもまだ十二歳。背中をさすって宥めていたら、十分くらいしてララちゃんが立ち直った。まだ鼻をスンスン鳴らしているし、目も赤いけど、キラキラした瞳でまっすぐにマリアを見つめる。


「私、お嬢様専属の名に恥じないよう、精進してまいります。この命が尽きるまで、誠心誠意貴女にお仕えすることを誓います」

「ええ。よろしく頼むわ、ララ」


  そう言って、互いにふふっと笑い合う。

  穏やかな空気の中に、ぐぎゅるるるという音が鳴り響いた。途端、朗らかだったララちゃんの表情がすっと焦りに変わる。


「もっ、申し訳ございませんお嬢様!! お食事を冷めさせてしまうなんて……! 温めてまいりますのでしばしお待ちください!!!」

「えっ? いや、冷めてても別に……」


  言い終わる前に、ララちゃんが部屋を飛び出していく。無情にも閉じる扉と空腹を訴える胃の音だけが静かな部屋に残っていた。

マリア=セイントベール(5)

種族:人間 性別:女


職業:

剣闘士Lv.MAX

魔術師Lv.MAX

聖職者Lv.MAX

錬金術師Lv.MAX

テイマーLv.MAX


スキル:

諜報スキル

鑑定スキル

召喚スキル

狙撃スキル

裁縫スキル

調理スキル


特殊魔法:

治癒魔法〈ヒール〉

収納魔法〈ケース〉

空間魔法〈テレポート〉

複合魔法〈コネクト〉


特殊スキル:

〈緑の手〉

〈妖精の愛し子〉

〈迷宮の解析者〉

〈憩いの場〉


アビリティ:

怪力

威圧

全属性魔法

状態異常無効

魔法攻撃耐性

物理攻撃耐性

身体強化

魔法威力精密調節

HP・MP高速回復

索敵・探知・察知


称号:

〈ダンジョン踏破者〉

〈牧場の主〉

〈農場の母〉

〈ゲームマスター〉


マリアちゃんのチートステータスです。

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