悪役令嬢、対面する
短いです。もう一度言います短いです。
〈テレポート〉でユリウスの寝室へと飛ぶ。ベッドの脇に着地すると体を起こしたユリウスと目が合った。お母様と同じ、青い瞳。
「……ユリウス?」
「あなたが……あねうえ、ですか?」
その声を聞いた瞬間、マリアはユリウスを思い切り抱きしめていた。腕の中の男の子は小さくて温かくて、彼が生きていることを実感させる。
この子が死ぬ運命を変えられた。
「そう、そうよ。私があなたのお姉ちゃん」
「あねうえ……ははうえと、ちちうえからききました。ぼくをたすけてくれたって……あねうえ、ありがとう、ございます」
「当然のことをしただけだわ。よかった、あなたが、死ななくて……っ」
「そこのかたは、だれですか?」
「初めまして、ユリウス。僕はルーク。ルーク=アラベスタ。君のお姉さんの婚約者だよ」
「……あねうえは、ぼくのあねうえです」
拗ねたように言うユリウスに、マリアは思わず苦笑を漏らした。初めて見た姉を慕ってくれる弟が可愛くて仕方ない。
「もうこんな時間だね。色々話すのはまた明日にしよう。今日は部屋でおやすみ。ルークも泊まっていってくれるかい? アラベスタ家には連絡してあるから」
「わかりました、義父上」
「マリアちゃん、本当にありがとう。ルークくん、マリアちゃんをよろしくね。二人ともおやすみなさい」
「はい、お母様。おやすみなさい」
「おやすみなさい、良い夢を」
「あねうえ……」
二人に挨拶をする私に、ユリウスが寂しそうな眼差しを向ける。マリアは軽く微笑んでユリウスの柔らかい銀髪を撫でた。
「また明日、たくさんお話しましょう?今日はもうねんねの時間。おやすみなさい、ユリウス」
「……はい、あねうえ。やくそくですよ」
「ええ、約束」
小指を差し出すと、ユリウスも自分の手を出してきた。もちもちぷくぷくの子供の手が小指だけ立ててマリアの指と絡めてくる。お母様譲りの青い目をキラキラと輝かせ「やくそく」と呟いたユリウスが、微かに口角を上げて笑った。




